黄昏
6月7日
道すがら出会ったおじさんの助言で、道の駅津山にて夜を明かすことにした。
石巻では、松尾芭蕉や石川啄木、宮沢賢治など文豪が通った日和山にも訪れ、津波被害のことなども見聞きはしたが。なんだか、書かなくてよしという気分になった。
私には、私が書くべきことがある。そう思うようになったのは、知らず知らずのうちに人には限界があるということを察し始めているのかもしれない。
テントを張り、湯を沸かし、レトルトを作り。食べ、歯を磨く。
そんな一連の作業をするのも慣れた。
慣れたぶん、周りを過ぎてゆく時間を眺めることができるようにもなった。
夕暮れどきになり、蛙が鳴き始める。
遊具で遊んでいた子供たちも、親に呼びかけられ車に乗る。
そうか、今日は日曜日だった。たくさん遊んで、家に帰って寝るんだろうな。
後ろの国道を走る車たちも、きっと帰る家があって、そこへの帰路なのだろう。
…なんだか、こんなことを千葉でも思い耽った気がするな。
空は段々と赤黒くなり、雲は早くなっていく。ときたまピュウッと風切り音が聴こえ、夏場とはいえ肌寒さを感じ始める。
別に、あそこで遊んでいた子供たちを相手にうらやむ訳ではないが。
孤独感というものは感じていた。ただ、寂しいだの辛いだのとまでは思わない、不思議な孤独感。
もし、私がまだあのぐらいの齢だったら。こんな状況、泣いてただろうな。
そう考えれば、私もこうみえて成長しているのだな。
なんて、どうでもいいことを考えていた。