Not in Education, Employment or Training
“「おかあさん!!」
ぼくは今、ほしい物があります。
今日は二回目だ。
「〇〇買っちゃダメ!?」
あーあ、言っちゃった。かくごがいくらあってもたりない。
やっぱりダメだ。
ダメなのだろうか。”
…
……
「イヤ、なんなんだよ欲しい物って?!」
…いったい誰が、長旅の途中で実家の大掃除をすると予想しただろうか。
どうやらウチは物を捨てられないタチのようで、1度の引っ越しを経ても家の中は荷物が散乱していた。
外出自粛中で何もやることがない故、家の役に立てればと大掃除を始めてみた訳であるが。やってみると、なるほど自分も物を捨てられないタチなのだなと思い知らされるのである。
特に私の場合は、小・中・高専時代にせっせこ書き溜めた、ノートや作文系をどうしても捨てられない傾向にあるようだ。
なんせ私は、物に愛着を持ってしまう分類の人間である。筆箱は小学生時に買ったものを高専生終了時まで使ったし、バックパックだって今の旅用の物を買うまでは、中学生時に買ったものを使っていた。
それが指にタコを作りながら創り上げた物質となれば、どうして捨てられようか。
「ま、こういった愛着から、良い文が生まれるかもしれない。」
そう呟いて、本棚に”不要物”を押し込む。そんな作業であった。
旅を中断して、もうかなり経つ。もうすぐ梅雨の時期になってしまうではないか。
コロナは、緩やかではあるが収束に向かっている。そう考えれば、そう見えなくもない様子だ。できれば、今月末には旅を再開したいところである。
別に、どれほど旅が長くなろうが私は構わないのだが、60を超えても仕事へ出ていく母や、90となっても家事をする祖母を見ていると、こうして事実上の穀潰しとなっている私の、卑しさたるや見ていられるものではない。
旅が終わったら、旅で見つけた、一番の絶景でも見せにいってやろう。だから、そのためにも。やはり旅には早く復帰したい。ダメなのだ。人は停滞しては、駄目なのだ。