風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

前進的撤退

「忍者ですか?」「忍者みたいですねぇ」

「忍者みたいな恰好して」「忍者の方ですか?」

「忍者、」「忍者忍者」………

 

「…どちらかといえば、サムライでしょうかね。」

 

…なんて苦笑いしながらの問答を、もう幾何回繰り返しただろうか。

たしかに、私の衣装は基本的には居合道用の道着だが、ロケットⅢのマフラーに裾が触れないために乗馬用のゲートルでくるぶしあたりを絞っている。

そのシルエットは、たしかに忍者に見える。だが、こうも言われるとさすがに考えさせられてくる。

「思えば九十九里の漁師さんぐらいだったな、武士って言ってくれたの…。よし、」

 

実は兼ねてから、用を足す時とか、中国武術のタッキャク(蹴り技)を繰り出すときの不便さなどから、このユニフォームは改定すべきだと考えていたのだ。

というわけで、新装備。

 

IMG_8551.jpg

 

袴の代わりに、カンフーでよく使われるチャイナ服のボトムスを着用。代償として失われてしまうヒラヒラを、長羽織を羽織ることで補完。我ながら上手くハマッた。どう? どうだろうか?

自撮りをしていると、おじさんが近づいてきた。さてその評価は

「忍者みたいな人がいるなーって思ってたんですよー。」

「…。」

 

 

 

栃木に入ったあたりで発注しておいたこの二品を、福島の実家にて受け取る。この用事が済んだ時点で、旅を再開する予定だった。

のだが…。

「東京で〇人が感染―」「イタリアの死者が—」「米国で命の選択が——」

連日報道されるコロナウイルスの悲惨な状況。外出を控える呼びかけと、それを聞く人々。

思えば、世界中の各国、全ての人々が同じ問題に取り組むというのも、珍しい話である。まぁ、この事態が収束したところで、どうせどの国が悪いんだなどと言い合うのだから団結などはないのだろうが。

…それでもやはり、こんな中私だけ旅をするというのも、示しがつかないというものだろう。

誠に気が揉む決断であるが、4月末まで実家で様子見をすることにした。

 

寄稿をさせていただいているEIGHTH様にも了解をいただき、家族にもその旨を伝える。居候になってしまって申し訳ない次第である。

しかしまぁ、感染リスクを回避する以外にも、ここで旅を中断するべき理由は幾つかあった。

鼻炎だとか、肩の痛みだとかも医者に聞けば様子をみるべきらしいし、一ヶ月旅をした経験をもとに、装備の取捨選択もしたい。

実際、資金繰りの面でも1ヶ月ほど間を置いた方がよかった。安倍政権の言う非課税世帯が対象の支援金とかいう、訳わからんものがどうなるかも一応見ておきたい。

 

桜を追いつつ北上できないのは残念だが、梅雨がないと聞く北海道で6月を過ごせるのはメリットになる。考えれば考えるほど、今ここを出るべきではないという結論に考えがまとまっていった。

それにしても、コロナウイルス。いよいよ腹立たしくなってきた。

人々の叡智を見られる博物館の閉鎖にあきたらず、我が旅まで中断させて。福島での楽しみとしていた、旧友との食事もおじゃんにしやがって。

この憎たらしい微細生物に、絶対に負けるわけにはいかない。

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