風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

戦を潜って

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どうにも、今後の天気が芳しくない。

明後日にはまた気温が下がり、週末には雪マークが…。

「こりゃあ、日光の方は今のうちに回っとくしかないな。」

幸い、大谷資料館を出たのは11時ごろ。今から向かっても、日が傾き始めるころには下山開始できるだろう。

山に備え電熱ウエアを着こみ、バイクの電源につなぐとホッとする暖かみが…ない。

 

…どうにもUSB電源が破損していたようなので、急遽宇都宮2りんかんへ行き修理。

完了したころには、14時を回っていた。

不安だったが…どうしても『戦場ヶ原』を見てみたい。

昼飯は抜きにして、覚悟を決め男体山へ向けハンドルを切った。

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戦場ヶ原までの道のりは険しかった。

まず、例幣使街道なる両側が高い杉で挟まれた道。

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太い杉が立ち並ぶ道は絶景なのだが、なにぶん道が狭い。しかも、道路整備が行き届いているとはとても言えず深い轍が広範囲に走っており、ロケットⅢですらハンドルが取られまくる。

あと、私はいいが花粉症の人とか大丈夫なんだろうか…。

 

それから、日光名物のいろは坂

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「凍結注意!」「凍結注意!」と嫌なことを囁く看板がひっきりなしに立っており、時期も時期だけに気が気じゃならなかった。融雪剤かもしれないが、ところどころ路面は凍っているし。上の方には残雪があるし。

これを往きと帰りで通らなければならないとは…。

 

さらには、日光の街並みの誘惑も襲ってきた。

毎度のことながら、暇を持て余しているのが大学生など若者たちがひしめいている。

甘味処、土産屋…。目が脇へとそれまくる。が、ここらで足を止めていては本格的に遅くなる。

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日光東照宮もすぐそこにあったのだが、高専生時代に学年学科行事で来たこともあったからスルーした。

思えば、あの時はこの街を走るGSアドベンチャーをツアーバスの中から見かけ、いつかはバイクで来たいと思ったものだ。…夢はかなったが、忙しない足取りである。

 

 

そんなこんなで、宇都宮を出て約2時間後。

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男体山が眼前に迫る距離まで山道を登り、いよいよ目当ての場所へ足を着ける。

 

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戦場ヶ原。

かつて山の神が戦いを繰り広げたという大湿原。昨日訪れた合戦場駅といい、栃木は戦場好きである。

別に、武士がここで戦った訳ではないのだが…。やはり一武者を志すものとして、戦と名の付くこの場所には来てみたかった。

ラムサール条約に指定された湿地とか、まぁ大層な湿地ではあるのだろうが、見た限り何もない。正直、これを目的に車で旅行に来たなら、大方の人は拍子抜けするだろう。

 

だが、私はバイクで来た。この時期に、大荷物を背負って。旅に来た。

凍結の不安を抱えつつ、杉林を抜け、いろは坂を越え。寒さに身を震わせつつ辿り着いた私にとってみれば、目の前の原っぱの燦然たる輝きが、いかに美しく、ありがたく見えることか。

自分で言うのもなんだが、ここまで成長した自分のスキルを正直に褒め称えたしだいである。

 

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無論慢心はいけないが、こうした経験を積み重ねて段々と自信が付いてくる。そしてその自信は、さらに未知の世界へと挑戦してみるきっかけとなる。

バイクも武術も、こうした戦の繰り返しで上達していくのだ。

 

言ってみれば当たり前のことだが、身をもって味わうと鼻歌を歌いたくなるほど誇らしい気分になれた。

背に当たる斜陽が、まことに暖かかった。

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