風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

岩砕く魂

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初恋の人に会った。夢の中で。

相変わらず強気な女性だったなぁ。

 

旅に出てからというもの、夢の中で様々な人に出会う。職場の仲間、学生時代の友人…。そして今回は好きだった人か。

 

「そういや、あれも結婚するって先生が言ってたなぁ…。」

 

………。

「くだんねぇ。」

だからどうしろというのだ。

寝袋をリュックに押し込んだ。

 

 

~~

昨日お話をお伺いした宇都宮城址のガイドさんに、あるスポットをオススメされていた。

 

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それがここ、大谷資料館だ。なんでも昔採石場だった場所だそうだが、館内に入る前から周囲には奇異な大岩が多数目に入った。

 

そこから館前へ来てみれば。

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「おお…。」

人なら誰だって知っている。石の硬さを。それが、こんな風に真っ直ぐ切り落とされているとは。

 

入館料を支払い、プレハブ小屋の入り口にありそうなスライドドアを開け、地下への入り口へ足を踏み入れると。

「寒っ」

日和の良い空気から一転、冷気が皮膚を一気に包み込んだ。

坑内の年平均気温は7度。冷蔵庫の温度とほぼ変わらない冷たさだ。

それを活かして、昭和45年には約9万俵の政府米が保管されたらしい。

 

少しばかり階段を降りると、壮大な地下空間が眼前に飛び込んでくる。

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岩が、巨大な四角にくり抜かれ、壮大な空間を造っている。文字通り見たことのない光景だった。

あまりにも現実離れした光景なので、気温のせいもあるのだろうか。少し恐怖を感じる。まるで、これからエジプトの地下墓を歩こうというかの如く感覚だ。

壁には噴き出した塩分が付着している。舐めると岩の味と確かに塩味がした。

 

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1,500万年前。

日本のほとんどが海の中だった頃、噴火によって火山灰や軽石が堆積したことで大谷石が生まれたとのころ。

石材として使われてきた歴史は深く、約1,400年前の古墳時代から利用されてきたそうだ。

 

 

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抗は、まず山に横穴を掘っていき、そこから縦に柱を残しながら地下へと掘り進めていって作られたらしい。大谷石はきれいな石とミソなる茶色の石の層が交互に重なっているらしく、こう掘ることできれいな石の層だけ掘り出すことができたそう。

写真に見える横縞は、縦に手掘りしていった跡だ。手だぜ?手。

 

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昭和34年ごろまでは手掘りが行われていたそうだが、35年からは機械によって掘削が行われる。写真の縦溝は、丸鋸式平場採掘機で切り出した跡だ。

手掘り時代に1日で加工できる本数は一人あたり10本。機械化以降は一人あたり50本になったらしい。1日一人10本もすごいと思うが…。

 

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近年はこの稀有な景色を利用し、映画の撮影や美術の展示、新車の発表会や演奏会、さらには結婚式の舞台としても利用されているらしい。

映像といえば、B’zや三代目のMVとか、るろうに剣心とか…。

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なんと私の敬愛するJUJUの『明日がくるなら』もここで撮影されたらしい!!!

 

 

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出口へ向かった時、思わずこぼした。「楽しかったぁ…。」

外とは違う空虚な空気、機械的な景色、草一本生えていない、岩のみの世界という重々しさ。何も考えなくても体感できるそれらに、ただただ「スゲェ」と興奮するだけでも楽しいものだ。

だがそれ以上に、あの硬い岩を、ここまで掘り進めた人間の力。自然と真正面からぶつかる職人たちの逞しさに、心底感服してしまった。そういえば初日に、「自然とぶつかるのは楽しい」と緑の森博物館の人が言っていたなぁ。

 

そうして生まれたこの空間を、多種多様な人間文化想像の場として利用されていることにも、どこか嬉しさを感じる。

今を生きる私たちも、何かできないだろうか。こうして、何百年経っても人の心を震えさせるような、魂の仕事を。

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