失業・再就職手当のハナシ
これから旅に出る君へ
今回も旅のために仕事を辞めた人向けのおはなしである。
仕事を辞め無職(ニート)状態になると、いわゆる失業手当というやつがもらえることになる。新しい職を見つけるまでの間、生活の足しにしてほしいお金というやつだ。
はじめに言わせていただきたい。これは私も勘違いしていたことなのだが、この失業手当を旅の資金に充てることはできないと考えていただきたい。
なぜなら、失業手当というのはまとめて1日にもらえるものではなく、長期間にわたって少しずつ支給されるものだからなのだ。しかもそれをもらうためには、約1ヶ月に1回の頻度でハローワークに顔を出さなくてはいけないのである。これから旅に出るというのに、そんな芸当ができるだろうか? 1ヶ月に1回家へ戻って来いと?
そんなわけで「失業保険を旅の足しにするぞ~♪」なんて楽観が崩れ落ちた私だったのだが、それでもお金が欲しい!とあきらめずに方法を考えたところ、見つかった手段が「再就職手当」だ。これは、再就職すると残りの失業手当の6~7割がまとめてもらえるという制度である。
“え? せっかく会社辞めたのに、また会社入んの?”と思った人、慌てないでほしい。実はコレ、個人事業主となった場合でも支給されるのだ。つまり、私のように”フリーライター”として開業届を出した場合でも支給されるというわけである。
しかしま、そこまでいきつくためにはまず失業手当の申請をしなくてはいけないわけで。以下はその流れを説明する。
・離職票をもらう
まずはハローワークに「会社辞めましたった~~」と伺うわけだが、このとき「離職票」という、まぁ”〇〇な理由でウチの会社辞めましたよ”という書類を持っていかなければならない。
この離職票は、退社後に前の会社がハローワークに申請→ハローワークが認定、会社に送付→会社が受け取り、僕らの家へ郵送…という流れで受け取れるので、だいたい退社後7~10日後に受け取れることが多いらしい(ネット調べ)のだが、なかな~か届かない人もいる(私もなんと届いたのは20日後)。この提出が遅れれば遅れるほど失業保険をもらえる日も遠のくので、「早く送れよあのクソ会社~!」となるわけだが、安心してほしい。
退職後12日が経過すると、離職票がなくても仮手続きを行うことができるのだ。もちろん、後々離職票は必要になるので、
●退職後11日以内に離職票が届いた→それをもってさっさとハローワークへ
●退職後12日経っても離職票が届かない→ハローワークへ仮手続きへ→退職後2週間経っても届かない→前の会社へ電話したり、ハローワークへ相談する
という形をとるのがいいだろう。
※会社都合と個人都合
…で、これに関して話しておかなければいけないのが、離職票に書かれる離職理由の「会社都合」と「個人都合」。つまり”会社が経営難などでやむを得ずクビにした”か”自分の都合で辞めたか”の話だが、これがどっちかでかなり命運が分かれる。
会社都合の場合は、待期期間(後に解説)終了後すぐに失業手当の給付、および再就職手当の申請が可能になるのだが、自己都合の場合は待期期間終了後さらに3ヶ月間経たないと、失業手当が受けられない。ただし、再就職手当の申請は待期期間終了後1ヶ月経てば可能。
つまり、自分の都合で辞めた場合、再就職手当をもらうにしても1ヶ月間なんらお金をもらえない期間が発生するのである。ある程度貯蓄がある人ならいいのだが、そうでないなら…。この失業・再就職手当のことはあきらめ、住処を引き払ってさっさと旅に出発した方がいいかもしれない。
というわけでできるなら会社都合で退職したいところなのだけど、大抵の人は「旅に出る」と言って辞めるわけなので、自己都合になってしまうだろう。
ただ、自己都合として離職票が出されても、ハローワークに異議申し立てをすれば、会社都合に変更される可能性は大いにある。例えば、一方的なリストラだった場合はもちろん、パワハラを受けていた場合、一定期間で何人も会社員が辞めた場合、給与未払いなど明らかな問題などなど。きちんと理由を説明すれば、取り合ってくれるだろう。
だから、仮に「パワハラされてるけど、訴える気なんかないし気にしてない」「サービス残業させられてるけど、そこまでお金に困ってない」という場合でも、パワハラなら音声の録音、サービス残業ならタイムカードとは別に退勤時間をメモっておくなど、会社都合に変更させるための武器を用意しておくことは念頭に置いておいてほしい。
・雇用保険説明会に出席する
離職票をハローワークに提出すると、1週間の「待期期間」が課せられる。この期間内にはいかなるアルバイトなど、金銭を儲ける行為をしてはいけない。した場合、失業手当がもらえなくなる。
その待期期間が満了した後、離職票を渡した日に指定された日に開催される「雇用保険説明会」に出席することになる。
そこでは「雇用保険受給資格者証」なる”どんな理由でいつ離職してますので、雇用保険(失業手当)もらえる権利がある人ですよ~”といった感じの書類がもらえるので、必ず出席しよう。これがあれば年金や保険の減免も申請できる。
また、失業手当まわりの説明もけっこう詳しくされるので、聞いておいて損はない。私の時は、最近の求人需要の割合とか話してくれた(最近は1.3~1.09と言っていたか)。ただ説明時間は2時間強と結構長いので、お覚悟を。
・開業する
7日間の待期期間が終わり受給者資格者証もGETしたら、あとはハローワークが定める「失業認定日」にまたハローワークに伺えば、それに応じた期間の失業手当金がもらえる…のだけど、旅に出る僕らにとってそんな暇はない。再就職手当を頂く準備をしよう。
上記のとおり7日間の待期期間が終わり受給者資格者証もGETしたら、税務署へ向かう。そこで「個人事業開業届出書」と、ついでに「所得税の青色申告承認申請書」(確定申告のときメリットがあるので)を書く。
開業というと難しそうだが、住所や事業の種類、屋号などを書いて提出すれば、いとも簡単に個人事業主になれる。青色申告のための簿記方式なども記入させられるが、職員さんいわく「あくまで参考程度なので、てきとうでいいですよ。」とのことだ。
ただ、免許証や印鑑などは忘れずに(事前に何が必要か電話で確認しておこう)。
・再就職手当の申請をする
開業届を出したら、そのコピーをハローワークの窓口へ持っていけば再就職手当の申請が可能になる。ちなみにその申請条件だが、
1.
失業保険受給の手続き後、7日間の待期期間を満了後に、就職または自営業を開始したこと。
つまり待期期間が終わってから開業届出さなきゃダメよということ
2.
失業手当(基本手当)の支給残日数が3分の1以上残っていること(就職日の前日まで)。
つまり失業手当をほとんどもらってから再就職してもお金あげられないよということ
3.
就職した会社が、退職した会社とは関係ないこと(離職した会社と資本金・資金・人事・取引面で密接な関わりがないこと)。
個人事業主になる場合は、そこまで気にしなくてもOK
4.
自己都合退職により3ヶ月の給付制限がある場合、1ヶ月目はハローワークもしくは人材紹介会社の紹介で就職を決めること
上記したとおり、自己都合の場合は1ヶ月経たないと個人事業主として再就職手当は申請できない
5.
再就職先は、1年を超えて勤務することが見込めること。
下で解説
6.
雇用保険の被保険者となっていること。
雇用保険受給資格者証を持っているということ
7.
過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
まぁそう何度も使える技じゃないよってこと
8.
受給資格決定の前から、採用が内定していた会社ではないこと。
念のため待期期間が満了するまでは、再就職手当をもらう前提でハローワークに来ている旨は、話さない方がいいかも
…とまぁ、基本的には気を付けていれば何も問題はないのだが、問題なのが5番の1年以上勤務できる見込みがあるかどうか、という部分。
これを証明するために効果的なのは、やはり「〇〇さんからお仕事を依頼された際の書類」などだろう。ただ、聞くところによると「事業用に購入したPCの領収書」とかでも”やる気がある”と見込まれて認定されたりする場所もあるという。
このあたりの裁量はハローワークによってかなり異なると思うので、各々工夫してほしい。ちなみに私の場合なのだけど、なぜか一年以上働けるかどうかについては一切触れられなかった。ここが一番の難関だったためかなり拍子抜けしたのだが、とにかく何も聞かれなかったのだ。私のお世話になったハローワークがそういうところだったのか、会社都合退職だと大目に見られるのか…。真実はわからない。
ともかく、ここまでクリアーできれば数週間後に晴れて再就職手当を頂ける。
なお、先ほどの話と関連して1年経つと”ちゃんと事業を継続できてるか?”といった旨の電話がかかってくるそうだが、そこは正直に答えよう。嘘をつくと、不正受給と見なされてしまう。