春は目の前
3月19日
「今の時期だとなぁ…。」
「そうですよね、どこ行ってもどの花も見ごろじゃなくって…。」
なんて会話も数度目。”飽きてきたな…”と思うあたりで、改めて気付いた。
この旅、まだ一度も花らしい花を見てない。桜は見たけども。
まぁ、季節は私のバイクより早く巡るのだ。待っていればいずれ出逢えるだろうと思ってはいるのだが。
あえて来てみた。無理くり花を探しに。
こういう専門的な場なら、季節外れでも花が用意されているのではと思ったのだ。
のだが。
………。
そうですよね、やはり季節の移ろいには抗えませんよね。いや抗える術もあるだろうけど、花を愛でる場でそういう暴挙はしませんよね…。
だが、パーク内の山を巡る散策路はなかなか歩き甲斐があった。
花こそないものの、深緑を纏った高木に囲まれて歩くのは気持ちいい。葉桜となった河津桜も、高台からの眺めを爽やかに彩っている。
最近、シジミン宅で世話になりっぱなしだったから、こうした散策が懐かしく感じる。
てっぺんからは、筑波山や今来たひたちなかからの道が眺められる。そのひたちなか方面に見える、切り立った山はなんなのだろうか。
軽く森林浴もできたし、花のすべり台なるアトラクションも楽しめた。結果的には来てよかったと反芻する。
それに、僅かではあるが花もあるにはあった。
ちっこいやつらが、先んじて咲き乱れている。大きな花弁たちも、蕾を覗かせている。
春は、もう目の前なのだ。
そう考えてみると、無色であるこの世界も。その裏に色彩豊かな世界が潜んでいると考えると。割と楽しめる状況なのかもしれない、と思った。