風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

点を繋ぐ

1021日(土)

 

 

ブロードビーチから、約5㎞内陸へ。

海風の届かない、Carrara(カラーラ)へとナベさんに連れて来ていただいた。

 

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見た感じ山と海の間の田舎といったエリアだが、ここにはカラーラマーケットなる、個人店舗が連なる大規模バザールが存在するのだ。

 

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食品やキッチンツールといった実用的な物から、フィギュアにフラッグ、調度品、刀剣類に至るまで、コレクター性の高いものまで。いろいろなものが売っていて、見ていて飽きない。

 

「あ、ナベさん! 自転車ありますよ! 45ドルですって。」

 

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カフェの軒先に、中古の自転車が無造作に並んでいるのを発見。

普通、自転車といえばK mart(こちらの服から雑貨までなんでも売ってる大型チェーン店)で120ドルはするものだが、その半分以下。中古とはいえ、破格に思える。

 

「あーじゃあ買ってあげようか。」

「えっ。」

 

 

~~

 

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もの凄くありがたいことに、自転車を買っていただく。

徒歩旅に慣れているとはいえ、通学通勤に毎日同じ景色を歩くのは、さすがに辛いと思っていただけに…メチャクチャ有り難い。

ちなみにオーストラリアではヘルメットを着用していないと即違反金を取られるのだが、自転車を売っていたオーナーが気前よくヘルメットもくれた。

 

 

ナベさんとはあとで合流することとし、自転車で一旦自宅まで帰る。

前輪ブレーキは、ワイヤーに不具合があって効かない。が、後輪ブレーキが効くから問題ないだろう。

前輪のギヤチェンジも上手くいかなかったが、バイク乗りの勘で適当にネジを緩めたり弄っていたら、スムーズに作動するように。マルチツールを常備しといてよかった。

サイドスタンドがゆるゆるだったりと色々コツはいるが、走行するのに問題はなさそうだ。

 

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ちょくちょく部品を弄りながら、住宅地を走る。

タイヤの空気圧が不十分だからなのか、体力の衰えか。

「自転車ってこんな疲れたっけ…?」

直近、東京で夜間警備のバイトをした帰りは、よく自転車を漕いでいたが。あれは電気アシストだったか。

暑さも相まって少しハードなサイクリングとなったが、道路からは見えない住宅地の通りは、それを和らげてくれる長閑なものだった。

 

 

その後、再びホテルでナベさんと合流し、彼の次男、キヨさんの車に乗車。サーファーズパラダイスへ向かい、台湾料理をご馳走していただいた。辛さはミディアムだったが、流石海外、私には少し辛い。

 

「英語が苦手だってことはさ、もう最初に言っちゃってもいいかもね。僕らアジア人なんだから、相手もそれはわかっているんだから。だけど、その代わりこれができます!ってポジティブに返すのが良いと思うな。」

キヨさんは、若い頃から海外経験が豊富である。だから、こちらの人たちの気質に詳しい。その上、店舗経営の経験もあって採用側でもあったから、いろいろと有り難いアドバイスを頂ける。

「外国人に気に入ってもらうには、とにかく笑かせようとするのがいいよ。スタッフルームがあるんだったら、英語に自信がなくてもとにかく話してみる。そんで互いに笑顔になる。そうすれば、あ、こいつと仕事してみたいなって思ってもらえるじゃない?」

 

…なるほどなぁ。

今までは、準備の時間は準備の時間、休憩の時間は休憩の時間とするのにいっぱいいっぱいだったけど。せっかく色んな人とすれ違うんだから、話さなきゃ損ってもんだよなぁ。

話しかけるのは、もちろん得意とは言えない。こちらに来て、イタリア人や南アメリカの人たちと比べたら、日本人がいかにシャイなのか痛感した。

しかし私とて。都合上ナンパを勉強したこともあるし、突撃取材だって山ほどやった。何より今は、接客が命のバーテンダーではないか。

明日からは、迷ったら話しかけよ。一期一会を無駄にしてはいけないのだ。

 

 

 

 

1022日(日)

 

 

その明日に、さっそくトークの機会があることを忘れていた。

 

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実は、何度かクラスメートのペルー人や日本人とランチを共にしていたのだが、その中で互いの家庭料理を食べてみたいという意見が勃発。

それを聞いて、なんとなしに家の管理人夫婦に「ウチに呼んでもいい?」と聞いたら、快くOKの返事が。

急遽、ホームパーティーの幹事的なことをすることになってしまったのだ。

 

私はバーテンダーになるまで、料理の経験は皆無。そしてバーテンダーになってからも、仕事向けにスペインやイタリア料理をかじっていたくらいで、日本料理の経験など皆無である。自信がない。

そもそも、シェアハウスに4人もの友人を呼ぶのも前代未聞。しかも多国籍だし。

いろいろと懸念はあったが、一週間前から根回ししたおかげで、なんとかこうにか実施するに至れた。

 

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母やナベさんにアドバイスをいただき、酢飯や魚の調達はバッチシ。料理は女性の友人が率先してやってくれたので、ジャパニーズチームは滞りなく寿司と肉じゃがを用意することができた。

ペルーチームも、寝坊して大幅に遅れるというペルビアンリズムだったが、なんとも旨い肉料理とフライドポテトを仕上げてくれる。

 

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ブラジル夫妻、エストニアのルームメイトも交えて、皆楽しそうでなにより。

…ぶっちゃけ、いろいろと上手くいかないこともあるだろうとか、気まずくなったらどうしようとか思ったのだが。

さすがは皆、自国からはるばる海を渡って来た者同士。

すぐに打ち解けて、あちらこちらで会話が盛り上がっていた。こんなに上手くいくとは思っていなかったので、なんだか恐い。

 

 

ちょうど重なったジャスミンの誕生日も無事祝え、パーティーは滞りなく解散。片付けも完璧。

すると、今日はブロードビーチでミュージックフェスがあるというので、行きたい人は一緒に行こうとオーナー夫妻。ジャストタイミングでヤマゲンの職場仲間たちから「飲みに行こう」と誘われていたのだが、こっち優先でいいだろう。

私と、エストニアルーミーと、一人残った日本人女性のクラスメートを車に乗せていただき、クラワビーチへ向かった。

 

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ふだんはただの広場の海浜公園に、露店が並ぶ。

 

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有名なのかどうかはわからないが、バンドマンたちが体に響く大音量でギターやドラムをかき打ち鳴らし、ギャラリーの合いの手と共に異国の地の歌を唄う。

まだまだ英語の歌は意味まで理解できないが、雰囲気で楽しめる、というのは日本のフェスと一緒か。

 

 

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その後、飲み物を愉しんで、暖かくなり始めた海でちょっと遊んだりして。

 

さてそろそろ帰るか……と、商業施設地下の駐車場へ向かっていたところ……

Ah~~! Shun san~~!

…なんと、飲みに誘ってくれていた職場仲間と偶然出会ってしまった。

 

 

 

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ちょうどいいからと、シェアハウスの方々とは別れ、先ほどの日本人女性を引き連れたまま、その職場仲間たちと合流しマルガリータで乾杯する。…以前、レジュメを配ったテキーラ専門店だ。

 

オージーとフィリピーナ、日本食レストランらしく日本人のスタッフを交え、今度は職場ならではの会話も交わす。流れで加えてしまったクラスメートも、なんだかんだ打ち解けているようでよかった。

 

 

 

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そいで、今度はブロードビーチの繁華街・サーフパレードのライブを見に行く。時間も相まってか、通り抜けができないほどの人混みである。

 

そしてここは、かつて働いていたスモークハウスがある場所……。

気まずくないといえば嘘になるが、酔ったいきおいで挨拶にだけ伺ってみた。

すると、同じワーホリ仲間のウェテイトレスたちや、マネージャーのディープ。オーナーまで。皆、笑顔で手を振り握手を交わしてくれたから、なんだか、心が救われた気分である。

ウェイトレスたちに「急に辞めちゃってごめんね。次、客として絶対来るから!」と約束し、今晩の仲間たちのもとへ戻る。

 

 

最後に、一行がどこへ向かったのか、というと……。

カジノ。そう、スターホテルである。

 

…ああもう、ままよ! あの人も呼んでしまえ!

 

 

 

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何故だか(私がそうしたのだか)ナベさんも加え、有難いことに一杯ずつご馳走していただく。

なんだかたかってしまったようで申し訳ないが。

しょうがない。

だって、”そのほうが楽しいだろうな、と思ってしまったのだから。

 

 

なんだか、不思議な日である。

クラスメート、シェアハウス、職場仲間、かつての職場仲間、そしてナベさん。

オーストラリアでお世話になった、ほぼ全ての人に会った気がする。

しかもそれらが独立してではなくて、入り混じった形で。

 

多少強引だが…。こんなふうにして、色んな人をつなげられたのは、なんというか……。

日本一周の時はじめ、有難く思って来た人々とのご縁に、少しは恩返しできた。そんな気がする。

私は結局、人に助けられてばかりの人生だから。いろんな人が、いろんな人の、いろんな世界を知るキッカケづくりをするぐらいは、できてもいいんじゃなかろうか。

珍しく今日は、自分を褒めたい。

 

 

 

それにしても今日は、正しいかはともかく英語がスラスラと口から出てきた。気付けば普通に会話できている状況に、ビックリである。

昨日のキヨさんの教えが、活きていると思いたいが……。

ぶっちゃけ、酔っているからだろう。

木村さんは、テキーラショット一杯飲んでから仕事したほうがいいんじゃないかなぁ

なんて、日本のバーで先輩にからかわれたことを思い出しながら、寝た。

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