南風
9月3日
初めての買い物。
ちゃんとできたもんね。
今日こそは海に辿り着く。
Sundale Bridge方面は昨日行ったので、今日はカレッジストリートからぐぐっと南へ。トーマスドライブという三角州(のようなもの)を渡る道から、サーファーズパラダイスビーチを目指す。
三角州へ渡る橋。川沿いはボートが停められる富豪たちのものである。
トーマスドライブ沿いはお店が多い。日本食屋もあったのが印象的。働き始めるまで、どんなものかはお預けである。
ここから、もう高層ビル群が見えてくる。
二つめの橋。三角州から、浜の街中へ。
高い。高いうえ、複雑。そんなタワーがいくつも連なる。
ほとんどが居住用なのだろうか。どこか、オフィスらしい造形は見当たらない気がする。
それとも、オフィスビルはカッチリとした真四角、というのは、日本人ならではの感覚なのだろうか。
交差点や、トラムの線路を横切っていく。日曜なうえ、観光街ということもあってツーリストが多い。
余談だが、歩行者用信号こそ赤になってしまうのが早いハード設計だが、信号のない交差点では、恐ろしいほど歩行者優先が徹底されている。昨日から歩き回っているが、渡ろうとしていると止まってくれない車を見たことがない。
ここに来てようやく、歩行者を遮って出庫する車に出会ったが、前を歩いていたおじさんがすぐに文句を言って、車を蹴とばす仕草をしていた。それで、反対から歩いてくる見ず知らずの男性と軽く”ひでえもんだぜ!”みたいなことを言い合っているほどである。
三角州から渡って、20分もかかっていないだろうか。海が見えてくる。
ようやっと、辿り着きました。
ここがサーファーズパラダイス。ゴールドコーストの浜。黄金と称される浜である。
景色が霞むところまで続く、輝く砂浜。雄大すぎて、どう画角に収めればこれが伝わるのかわからない。
ただ、そうなんだろうな。どうやっても画角に収めきれないから、実際に見ないとわからない景色があるんだろうな。函館で見た夜景を思い出した。
陽は暖かく、風は清涼。ベタつくこともなく、じつに良い心地。しかも砂は鳴き砂。
ああ、やっぱり海はいい。目に映る規模や、空気感こそ違うが。目の前の青は、今までと変わらない青だ。
旅に出て初めての海というと、千葉の蓮沼を思い出す。あちらと比べると、だいぶ名高いが。
名高いからこそ、人が多くて、ちょっぴり落ち着かない。日曜だしなぁ。水着の方も多いから、シャッターを切るのに気をつかう。
人が多いからこそ、妙に孤独感が強い。
理解できない言語が飛び交っていて、そこに混ざれないんだなという寂しさというか。
もちろん、ここが日本で、言語がわかっていたとしても、馴れ馴れしく会話に混じることなど一切ないのだが。
もしかして話すことになったとしても。言葉を交えることが決してできない。その事実は、周りを歩く者が、人というより、違う生き物であるようで、疎外感がすごい。
ああ、早く英語話せるようにならねばな。
そんなことを考えつつ、ひたすら浜沿いを北上。
メインビーチという地にさしかかったあたりで、内陸に戻る。
「次来たときは、会話できる日になりますよーに。」
メインビーチを抜け、
先日渡れなかったSundale Bridgeへ。
このあたりは、2021年に整備されたばかりらしい。…と、看板をがんばって読み解いた。
じんじんしてきた足を橋のふもとで休ませていたら、風は寒さを教えてくれる。もうそろ帰る時間かな。
明日は学校初日だし。帰ろ。
初日が賑やかだったために、寂しさも感じられる散歩だったが。初日が異常だったのである。
本来であれば、この感覚こそが旅の醍醐味。異国に来たばかりならば、なおさら味わっておくべき旅の味なのだ。
ボートはないが、内陸の住宅地は一軒一軒の面積がデカい。
自分もいつか、こんなとこ住めるんだろーか。
そのための第一歩が、英語を話すことだと考えれば。
なんだかワクワクしてきながら、帰路についたのであった。