風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

未知の南方大陸

前に。

ここに来たのはいつだったか。

 

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あの時は海を渡る飛行機に想いを馳せて、今ではない。と歯がゆい思いをしていたが。

 

 

気づけば、今。飛び立つべき日に辿り着いてしまった。

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成田空港

 

 

 

 

16世紀、オーストラリアは未知の南の大陸と記されていた。

荒い海に囲まれ、当時の上陸は困難。最初に到達したヨーロッパ人には、交易に値する品なしと評され、アメリカ独立後は、イギリス人の流刑地として扱われた大陸。

 

以降、ブラックウォーやらゴールドラッシュがあり、なんやかんやあって発展を遂げたオーストラリア。今や住みたい国ランキング上位にも入るという、目覚ましい成長ぶりである。

 

 

…と、白紙に書いたところで、ピンとくるものではないだろう。

先人方がどんなに目覚ましい活躍をしても、輝かしい偉業を立てても、新たな発見や発明をしても。それらを私が見たわけじゃなければ、私にとっては未知のもの。

指先を動かして情報を得ることはできるが、頭で理解しているだけじゃあつまらないのは、前の旅でわかっていることだ。

百聞は一見に、一見は一触に如かず。この身と心を以て、味わうからこそ面白い。

 

オーストラリア。未だに私にとっては、未知の南方大陸だ。

 

 

荷物を預け、搭乗ゲートへ入り、バスに乗って機体へ。

いくら心臓をバクバクさせようが、もう後戻りはできない。だったらもう、腹を括るしかないのだ。

覚悟を決めたら、あとは楽しむだけである。

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さぁ、私の大航海を始めようか。

 

 

 

風来記 ~Terra Australis Incognita~

 

 

 

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「眠い…。」

 

LCCの8時間。寝られたような寝られなかったような…。

 

翼に反射した光に起こされ、着陸準備へ。曇り予報だという雲海を抜けると、眼下に大陸が見えてくる。

 

あの塊の中にある、一つ一つの建物は、みんな外国の言葉が書かれていて。走っている車たちは、ほとんど外車で。そして、それらの中で動いている人影は、みんな外国人で。

 

テレビで見たあの光景に、今、手が届く。二次元が三次元になる瞬間まで、あと数分。

 

3,2,1………。

 

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木村峻佑、初の外国上陸。

 

 

 

 

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「空港撃破!」

緊張の入国審査、手荷物検査を終え、ターミナルに出る。

ガラス越しに見える異国の景色。

 

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「なんて爽快なことだろう…!」

オーストラリアは今、夏に移り変わるころだろうか。

朝ということもあり、僅かに肌寒い風が歓迎する。澄んだ、深呼吸したくなる景色。日本のどこか、田舎で味わったような気がするが、多分どこのものとも違う。

 

荷物を整理して、送迎バスの待ち合わせ場所へ。

腰によりかかる、バックパックの重みが懐かしい。前回より4キロほど重量増だが、耐えてくれるだろう。奈良で壊れた、サイドリリースバックルも交換済みだ。

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それから今回は、私をオーストラリアに誘ってくれたある方の推薦で、居合刀も持ち込むことに。税関では冷や冷やしたが、製造元に英語の証明書を作ってもらったこともあり、無事スルー。有難う肥後虎さん。

 

 

今回は野宿旅ではなく、きちんと居を構えて転々とするワーキングホリデー旅。

名残惜しいがテントとシュラフはお留守番させ、パッキングを占めるのは衣類や仕事道具など。

“Where is the transit center?”

と海外初めての質問をインフォメーションセンターに投げかけ、自信をつけて集合場所へ。

辿り着いて所定の電話をかけてみると、何言われてるか全くわからず自信喪失。

どうしたものかとさまよっていたら、予約していた会社のバスが来たのでそれに乗ってみた。

 

 

 

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予約客たちの乗り合いのため、いろいろなところを回ってくれるからおもしろい。

英語だらけの看板、初めて見る草木、海外のバイク乗り、デカいビル、橋、河川…。

すべてが新鮮で、窓から目が離せない。首が痛くなる。

 

M1と表記されたハイウェイらしき道を通り、サーファーズパラダイスの街を回って、海岸線を流した後は、私のホームステイ先があるサウスポートだ。

 

 

どんなホストかとびくびくしていたが、バスが到着すると同時に家から出迎えてくれ、笑顔で握手。

Mr.マッヂ、良い人だ(確信)。

「お腹空いてない?」と、優しく声をかけてくれた。

 

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さーて、飛行機のおかげで眠いし足も痛いが、ここでじっとしていられるほど私は大人じゃない。

これをいただいたら、散歩に出てみますか。

 

 

 

                                                                      つづく

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