風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

とある元レーサーの笑顔

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「バイクということなら、この先にセーナーニってレストランがありますよ。なんでもオーナーは、元レーサーだったんですって。」

乗馬クラブで働いていた娘さんに、このようなことを聞かされてしまっては。

食べに行くしかあるまい。多少高くても…!

 

 

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という訳で、たどり着いたレストラン『セーナーニ』。

 

戸を開けると、少し驚く。

黒人の男性がカウンターに立っていた。あれ、元レーサーのオーナーって外人さんだったの?

「バイクで来ましたか? その恰好で? 私も昔、刀持って走ってたよ。伊達政宗―!って。」

ギャグ…なのか本気なのかわからない会話をしつつ、席に座る。

 

 

「あの、オーナーさんは元レーサーって聞いたんですけど…」

「そうです! ホンダのレーサーだった。優勝したこともあるんですよー。」

カタコトの軽い口調で、すごいことを話してくる。

実際、その証拠にお店の一角にはNSRが飾られていた。

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新築かと思うキレイさだが、築5年は建っているとのこと。よく音楽イベントなどもやったりするらしい。

 

 

「うわ、久々に肉っていう肉を食った気がする!」

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よく肉と肉汁が詰まり、外はカリッと焼けたハンバーグ。この旅では縁のなかったフライドポテトも付いてきて、贅沢だった。値段も…もちろん贅沢だ。

 

 

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右がオーナーのサマン・A・ペレラさん。左は、話が盛り上がったノリのいい山武市在住のお客さん。

サマンさんは、アメリカはインディアナ州生まれ。インディアナは何もないところらしいがサーキットがあるらしく、レースが盛んだったそうだ。

そこでカートレースに出ていたところ、ホンダにスカウト。バイクレーサーの道を歩んだらしい。

「でも、レーサーは一生やっていけないでしょ。ケガしたら終わりだし。だから、何か手に職を…って思ったときに、ホテルを転々としてたから、ホテルで働くことにしたの。どこのホテルでも働けるように、コックとしてね。」

それが、今レストランをやっている理由だそうだ。日本に開店したのは、ホンダに居たからだそう。

 

「来週にはゲストハウスとしてのサービスも始めるんだけど、従業員さんがいなくて困ってるんです。先週も募集かけたけど、70歳超えのおじいちゃんで…。」

なんと残念な。私が旅の途中でなかったら、働いてもよかったのに。

そう思うぐらい雰囲気があって、キレイで面白そうな場だ。どなたか、ぜひここで働いてみませんか!

 

女性のお客さんに「じゃあ、ゲストハウス出来ないじゃないですか。」と言われたが、「でもやるしかないじゃん」と答えるサマンさん。

そうだ。宿泊用の建物まで作ってしまった以上、やるしかないのだ。

…私の旅も、そう。やるしかないのだ。

と先行きは不安なようだが、「お一人様はね、立って食べるルールですよ!」「新聞読むのは、1,000円ですよ!」なんて具合に終始ジョークを飛ばすサマンさん。

別れ際に、こう語ってくれた。

「こんな暗い世界だからこそさ、明るく笑って過ごさないとね。笑ってれば、前に進めるでしょ。」

 

笑えば上手くいく根拠なんて、ない。だが、不思議とそういうもんだと思わせてくれるほど、笑顔がステキな人がいる。彼が、それだ。

別れたあとの『九十九里ビーチライン』。私は終始、ひきつった笑顔で。歌を大声で歌いながら、走り続けた。

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