風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

違和感

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「…。なんていうか、ニヤけてしまうな……。」

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毎日のように見た景色。もはや地図なんか不要な、ホームグラウンド。

見ず知らずの道ばかり走ってきた旅人が、数ヶ月ぶりに馴染みのある道に戻ってくると。

一体全体、どんな気分になってしまうんだろうか。私の場合は、

「なんで俺…、知っている道を走ってるんだ……?」

という、まぁ混乱めいたものだった。

 

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このマンションに住んでたんだよなぁ。

そこからいつも言ってた理髪店がある榎町交差点を右折して、ペガサス通りに入って、前の前の職場を通り過ぎれば…。

 

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淵野辺駅。

暑い日も寒い日も、ここに毎日歩いてきてたんだよなぁ。

そしてここから、旅を始めたんだよなぁ…。

 

それからいつも寄っていたガソリンスタンドで給油して、いつも食べていた松屋で牛丼を食べてみて。

ああ、懐かしいな

とは実感しつつも、やはりどこか足が地に着いていないような気分だった。

「本当に、戻ってこれたのかな………。」

そんな気分になってしまうのは、まだ旅が終わっていないからだろう。

そう、まだなのだ。まだ神奈川で行きたいところがあるし、東京も残っている。

 

感傷を振り切りつつ、藤沢経由で一気に南下。

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江の島を眼前に捉えたが、何回か行ったことのある場所なのでテキトーにロケットⅢで上陸し、足を着けずグルリと回って海沿いに戻る。さすが日曜というだけあって、鎌倉の海岸沿いは相変わらずの渋滞っぷりだ。

 

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こんな状態で、これ以上の活動は疲れるだけだろう。由比ヶ浜近くのゲストハウスに転がり込み、一日を終える。

 

 

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「雨予報か…。」

とはいっても降る気配はないが、曇天なのは確かである。

今日はロケットⅢは休ませておいて、せっかくだから鶴岡八幡宮で御朱印を戴いてくるか。

 

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由比ヶ浜から、鶴岡八幡宮まで一直線に続く若宮大路を歩く。

ここは中学生のとき修学旅行で歩いたし、ツーリングでもぶらりと寄った道だから馴染み深い。…のだが……。

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「こんなに荒れ果ててたんだっけ?」

改めて歩いてじっくりと見てみると、参拝客を出迎えてくれる一の鳥居下の草はボーボーである。

 

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うーーんこんなだったっけ?

曇天だからか、桜がないからか、紅葉の季節も過ぎてしまったからか。

どうにも、殺風景に見えてしまう。修学旅行のときは、なんというかもっと賑やかに見えたんだけどな…。

人通りは(コロナなのに)ちゃんと多いのだが、なんだかつまらない感じ。それでも周りの人は「スゲースゲー」と写真を撮っているから、私がおかしいのだろうか。

 

 

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今歩いているここは段葛と呼ばれる参道で、盛土が成され車が通る両脇より1段高くなっている。

頼朝が妻・政子の安産祈祷のため作ったそうだが…。この直線路が、胎児が素直に生まれてくることを表していたりするのだろうか? わからん。

 

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源平池の堀を乗り越え、境内へ。

この池は政子が作ったもので、境内の東側を源氏池、西側を平家池という。なぜわざわざ敵方の平家池まで作ったのかと思うが、源氏池には3つの島を作って3=産と願をかけ、平家池には4つの島を作って4=死と願ったのだとか。

…わざわざそこまでして敵の破滅を願うという気構えは、私にはちょっと理解できん。

 

 

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「ひえ~~~こんなだったっけ。」

なんというか寂しいものである。失礼ながら正直に言ってしまうと、何故そこまで参拝客が多いのか疑問に思ってしまうほどであった。

 

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シンボルである、本殿へ続く石段。

さすがにここまで来ると、朱塗りの社が見えるぶん見応えがある景色が連なっている。

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もはや誰もがその存在を忘れてしまったかのように、石段脇の切り株周りには人が一人も立っていなかったのが悲しいが。

ここにはかつて、参道の人々を見守っていてくれていた大銀杏がそびえ立っていたのだ。が、20103月、力尽きて倒れてしまったのである。私が修学旅行で訪れる直前のことだったから、よく覚えている。

 

 

石段を上り、振り返って見る。

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おお、こうして見るとたしかに道が真っ直ぐだな…。

やっぱり好天に恵まれていないせいか、どうにも満足いく景色ではないが。

口をへの字に曲げながら眺めていると、後から上ってきた参拝客たちが口々に「疲れたー!」「やっと上ったー!」と声を漏らしては、振り返って「すっごい景色―!」と叫んでいる。

 

……

………。

 

ここで!?

 

こんなことを言うと先輩風吹かしてるだとか、通ぶってると思われそう…いや実際そうなのかもしれないが…。ここでか!?

 

石段なんて、100段足らずの目の前のそこしかなかったよね? 老人ならまだしも、君らまだ若いでしょ!? 立石寺や安土城行っちゃったら、どーなっちゃうの? 死ぬの??

石段を振り返っての絶景だって、妙義神社とか金毘羅さんの方が遥かに上だぞ! 境内の美しさにしたって、鹿島神宮や出雲大社、お伊勢さんの比ではない。

「こんなんで…満足しちゃうのか……。」

 

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あり得ねぇ。

よく手入れの行き届いた社殿にケチをつけたいわけでもないし、批判も甘んじて受ける覚悟で書くが………、あり得ねぇ。

 

少々口が開いたままになってしまったが、すぐに口角が上がる気分になる。

「ま、知りすぎちゃったってことなのかねぇ…。」

それを不幸だなんだと言う人もいるが、物事の目利きができるようになるのは、やはり誇らしいことだと思う。

無論まだまだ私の知らない世界は無数にあるのだろうが、これぐらい胸を張ることは許してもらえるだろう。それが旅人の、特権なのだから。

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