風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

今はまだ

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雨なんて嫌いだ。

旅に出た今、何度だってそう言ってやる。

 

土の上にテントを張ったばっかりに、フロアの下は水たまり状態、ブカブカとウォーターベッドの上で寝たような夜だった。

 

おまけに、見ろ。ロケットⅢはこのザマだ。

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通りすがりの杖をついた…の割には力があったおじいさんに助けてもらったからよかったものの。

 

「まったく…最大の敵は雨だな。」

 

晴れの下、引き起こしでかいた汗を『佐倉天然温泉 澄流』で流し、翌日気を取り直してハンドルを切った。

 

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相も変わらずの地平線まで続く田畑と、たまに出くわす川と、それが差し込む印旛沼を横目に走り続けると。やがて幹線道路に合流する。

とくにまぁ…良い景色が見えるわけでもない、いくつかの小山を貫いていくその道を辿っていくと、やがて大仰なゲートが見えてくる。

 

本日の目的地、成田空港だ。

 

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…いやなに、別に日本をほったらかして海外渡航するという訳ではないのだが、ここにはちょっとした思い入れがあって。

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私がまだ幼い頃、母がここに遊びにつれてきてくれたのだ。

 

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ああちょうど、この売店でポケモンのラッピングがされたジャンボ機の模型を買ってもらった気がする。

 

母は昔、空港勤めだったらしい。

田舎暮らしだった私は、当時は飛行機を間近で見られることに一喜しているばかりだったが。今思ってみれば、都会から実家に戻された母からしてみれば、一憂の思いもあったのかもしれない。

 

もしかしたら、自分が断念した夢を、息子は継続してほしい。広い世界へと飛び立っていける人間になってほしいと。そう思っていたのかもしれない。

 

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…考えすぎかな。

どこへ飛んでいくのかわからないが。今の私よりはるかに早く、はるかに高く遠くへ飛んでいく翼を見ていると、そんな考えを巡らせてしまっていた。

 

 

 

まぁ、でも。母がどう思っていたとしても。

 

私はいずれ、海外にだって行ってやる所存だ。

この筆が稚拙なままだろうと。いずれ日本の外のことだって書いてやる所存だ。

せっかくこの世に生を授かったのに、たかだか海を越えるだけで歩める土地を、一歩も歩かず死ねるわけがない。

 

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だがなぁ、今はまだ。今はまだなのだ。

井の中すら知らず、大海を知るわけにはいかないのだ。

 

だから、いずれ。いずれまた会おう、ジェット機よ。

私は今は、地を這いつくばって進むとするから。

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