風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

街中の神

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神戸といえば海のイメージなので、メリケンパークへ足を延ばす。

メリケン波止場で…♪ってPUFFYも歌ってたな。

カワサキミュージアムにも行ってみたかったが、有料だったのでパス。今はもうカワサキオーナーじゃないし。

 

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神戸は1868年の開港以降、世界への窓口としての役割を果たしてきた重要地。

かつてここからは100万人を超える海外移住者が海を渡っていったらしく、彼らの子孫である海外在住日系人は、2001年の時点で250万人を超えるそうだ。

 

 

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「こっから世界へねぇ…。」

とりあえず私の目に見えるのは、これから行かねばならない紀伊半島だけだ。

 

 

…もう12月……。

バックパックから、小さな黄色い箱を取り出す。

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「…これ、食べなきゃな…。」

旅に出る直前に買った、非常食のカロリーメイト。賞味期限は、12月と記されていた。

これを使う羽目にならなくて良かったな…。危うかったのは、宗谷岬のときぐらいか。


長いこと揺られ続けたせいで、中身のブロックはボロボロ。粉をこぼしながらなんとか固形を留めた部分を平らげ、残った粉は鳩にやる。

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「すぐ寄ってきたなコイツ…。」

エネルギーを蓄えたら、あんたらもどっかへ飛んでいくのかい。お互い、厳しい季節になったねぇ。

 

 

~~

カプセルホテルに戻ると、またレストランの山下店長が出迎えてくれ、寄ってきなよと招き手を振ってくれる。

昼飯を食べ損ねていた(カロリーメイトはおやつ)ので、喜んでお邪魔させていただいた。

 

ビーフカレーをいただくと、ちょうどランチタイムは終わり。店長は店じまいを軽く済ませると、「これから神社に行くんだけど、よかったら一緒に行く?」と誘ってくださった。

もちろん、二つ返事でついていかせていただく。神戸の街並みはまだ歩いていなかったのだ。

 

 

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「この坂はずうっと山の麓まで続いてるんだよ。よく見てごらん、向こうにちっちゃく異人館が見えるでしょう。」

 

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「この東門通りは昔は一番賑やかな道で、肩と肩が触れ合うぐらいだったんだけどね。今はダメ、立ちんぼがおるばっかりよ。」

 

さすが何十年もこの地に根を下ろしているだけあって、山下店長の知識量は半端がない。

閉店してしまった飲食店、閉店予定の百貨店、開店予定の高層ビル、公園まで、なんでもご存知だった。それを一つ一つ丁寧に教えていただき、「ほー」とか「はー」「へー」といった声が止まらない。

 

 

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その神戸の飲み屋街ど真ん中に佇んでいるのが、生田神社。

いきなり現れる木造荘厳な社に、思わず驚いてしまう。

「ほんとに街中ですね…。」

「面白いでしょ。」

鳥居の前で二人しておじぎをし、境内へ。

 

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「おぉもう丑年だね。」

年末なんだなと実感させる巨大絵馬を横目に、お賽銭を投げ入れる。

街中ということで小さな神社かと思っていたが、かなり豪勢な境内である。

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ご朱印もまさかの冬仕様や12月限定仕様があり(写真は12月仕様)、特別感がものすごい。

このデザインかっこいい…! 自慢しよう。

 

 

「ここの裏にはね、生田の森っていうのがあるんですよ。」

言われて裏手に導かれると、たしかに都会のど真ん中とは思えない森が眼前に姿を現す。

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「ここには4本の御神木があって、毎月1日には、ここに力をもらいにくるんだ。」

言うと店長は神木に近づき、掌と額を木の肌に当て始める。

何分もかけて、まるで自身も木の一部であるかのように、静かに。

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それを4本分。

私も倣って、木に手を当てながら森を歩き回った。

ここの木々の下に居ると、不思議なほど車や人の喧騒が聞こえなくなる。その中で目を閉じると…。確かに、この地の奥の奥、何か人知の及ばない力の流動の片鱗を、感じられる気がした。

 

「本社だけじゃなくて、ほかの末社を回るのも大事なのよ。」

境内をぐるりと一周し、二礼二拍手一礼をいくつかの末社の前で繰り返し、一緒に歩く。

先ほどまで歩いていた、アスファルト路地の忙しない時間の流れが嘘のようだ。

まるで違う時間の流れに乗ったような、ゆるりとした時間を店長ガイドのもと過ごす。

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「ここは、神戸の癒しの地なんですね…。」

「そうなんよ!」

聞けばここの神社も往年の大震災にてグシャリと潰れてしまったそうだが、多くの人たちの寄付がすぐに集まり、再建が成され現在の姿になったのだそう。

その背景も物語るように、恐らく日本人には必要なのだろう。どんなに時代が進んでも、どんなにビル群が立ち並んでも。神に見守られる、心沈まる緑の空間が。

 

 

境内を出ると三宮駅方面もご紹介していただき、カプセルホテル&レストランまで戻ってくる。

「すっごく勉強になりました! ありがとうございました!」

「いやいやこちらこそ。またよかったら、晩も来てよ。」

「えっじゃあお言葉に甘えて…。」

そんなこんなで、人との会話に恵まれながら兵庫最後の夜を過ごしたのであった。

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