独白
3月9日
「手賀沼にテント張れなかったら、ここにこう、バイクを入れて、ここに張って、出てくときは………。」
なに必死になってやってんだろ、俺。こんなことしても、一銭にも、誰の目にも映らないというのに。
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一昨日だっただろうか。そんなことを考えたのは。
今、寝床で眠りにつこうとしながら、つけないでいる自分がいる。
先ほど、サイフの中からまた札がなくなった。そんなに使っただろうか。
わかってはいたが、懐が寒すぎる。俗人離れしたいと思いながら、やはり金がないと不安で不安でたまらない。
なんでこう、急に恐さがくるのだろう。サイフの中身が空っぽになったから? ATM取引で手数料がかかるようになったから? 今日立ちゴケしたから? 明日雨だから?
多分、それらすべてが要因だろう。
私はそもそも、この不安をずっと抱いてきて。考えまいと我慢してきたのだ。
それが、こういった要因で一気になだれ込んで来てしまったのだ。
恐い。やる気が出ない。母との電話も、声にハリが出ない。
情けない。勇者になろうと思いながら、こんなにも臆病者な私が嫌だ。
この旅を続けられるのだろうか。その先で何か見つけられるのだろうか。誰かの目に、映るのだろうか。
ただただ、恐い。恐い夜を、一人、過ごす。