風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

独白

39

 

「手賀沼にテント張れなかったら、ここにこう、バイクを入れて、ここに張って、出てくときは………。」

なに必死になってやってんだろ、俺。こんなことしても、一銭にも、誰の目にも映らないというのに。

 

~~

一昨日だっただろうか。そんなことを考えたのは。

 

今、寝床で眠りにつこうとしながら、つけないでいる自分がいる。

先ほど、サイフの中からまた札がなくなった。そんなに使っただろうか。

わかってはいたが、懐が寒すぎる。俗人離れしたいと思いながら、やはり金がないと不安で不安でたまらない。

 

なんでこう、急に恐さがくるのだろう。サイフの中身が空っぽになったから? ATM取引で手数料がかかるようになったから? 今日立ちゴケしたから? 明日雨だから?

多分、それらすべてが要因だろう。

私はそもそも、この不安をずっと抱いてきて。考えまいと我慢してきたのだ。

それが、こういった要因で一気になだれ込んで来てしまったのだ。

 

 

恐い。やる気が出ない。母との電話も、声にハリが出ない。

 

情けない。勇者になろうと思いながら、こんなにも臆病者な私が嫌だ。

この旅を続けられるのだろうか。その先で何か見つけられるのだろうか。誰かの目に、映るのだろうか。

ただただ、恐い。恐い夜を、一人、過ごす。

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