なると
11月20日
徳島の海側で見れるもの…といえば、やはり渦潮だろう。
国道28号から小鳴門海峡を渡り、鳴門公園へ。
大鳴門橋は……曇りのようだな。
深夜から今朝方にかけて降っていた雨は、まだ四国の空を去っていないようだ。
ややウェットになった路面に注意しつつ、鳴門公園へ到着する。
「…エスカレーター有料なのね…。」
二輪車ですら駐車料を取られるし、この辺りの整備費とやらは逼迫しているようである。
しょおがないので、歩きで鳴門山展望台へ。
観光地だからと馬鹿にしていたが、けっこう勾配と石段の数がキツい。冬装備だというのに最近は暖かいものだから、汗をかきがちだ。
到着。
おお…。
曇り空の海峡というのも、なかなか緊張感があっていい。
朝だからか登りがキツいからか、辺りに他の観光客はいない。
代わりにトンビだかタカだかが、宙を旋回していた。
淡路島を経由すると、本州-四国間で海上を通過する距離が短く済むことから、鳥たちの渡りのルートとしてよく利用されているらしい。
香川方面は、晴れているようだ。
山を下り、今度は大鳴門橋の下段を渡れる遊歩道『渦の道』へ。
通行料として510円取られたが……まぁこちらは整備費として、納得できるというものだ。
規則正しく並べられた、鉄骨の集合体が美しい。
彼らの合間に作られた、直線の遊歩道を歩いていく。もちろん横に目をやれば、荒波巻き起こる鳴門海峡が目前に広がる。
あれは飛島ってやつだろうか。
良く晴れてきて、日差しが通路に差し込んできたせいでまた汗が湧き出てくる。
進んでいくと、なだらかな海面がある一点を越えた途端、ごうごうとうねりを上げ始めているのが見える。これが鳴門の海流か。
鳴門海峡は幅約1,340mの狭い海峡で、それぞれの岸から近いところに裸島、中瀬という岩礁がある。その中間の海底はV字に深く落ち込んでおり、それらの地形が潮の干満にともなう海流と合わせて、直径最大20mにも及ぶ渦潮を発生させるそうだ。
その規模は世界最大級。イタリアのメッシーナ海峡、アメリカのセイモア海峡とならんで、世界3大潮流の一つに数えられている。三大○○ってなんでもあるもんだね。
ちょうど渦潮の起こる真上あたりにある、展望室に到着。
高所お約束のコレ。
昔は全然怖くなかったけど、歳が歳だけにさすがにヒヤッとくるね…。
さて、時刻は9時40分で、大潮。十分渦潮が見られる時間のハズだ。目を丸くして探してみる。
「………どこだ……?」
そもそも、想像しているものと実際のものは、けっこう違うのではなかろうか。グルングルンきれいに渦を巻いている姿は、空想なんじゃ…。
半ば諦めがちになりながら視線を下ろすと、おっ。
あれか? あれなのか!?
写真じゃわかりづらいだろうが、ちょうど色が碧になっているあたりで、白波が急激に弧を描いては消えていくのを発見する。
「むう…たしかに想像ほどのインパクトはないが…!」
ここまで複雑な潮流を見られるのも、ここぐらいだろう。実際、こんな海の顔は初めて見た。
“鳴門”の名の由来となった、轟々と響く海鳴りが耳に残る。
「金を払った甲斐はあったな。」
このまま淡路島まで…といきたいところだが、引き返して大毛島へ戻る。
とはいえ、もう行きたいところもないもんなぁ…どうしたものか。
ダラダラと過ごして金を無駄遣いするよりかは、さっさと次に進んだほうがいいんじゃなかろうか。五日滞在ルールとか、言っていられる余裕もなくなってきたし。
香川の海は、とてつもなく晴れ渡っている…。
うん、ごめん! 徳島!
のんびりと山を散策できる季節にでも、また遊びに来るよ。
鳴門スカイラインを通り、香川への県境へ向かうのであった。