風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

沈下橋チャレンジ

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ポタッ、スーーーーーーーー………。

 

 

木の葉がテントに落ち、そのままフライシートに沿ってずり落ちていく。

それが今までにない音を立てて、思わず目を開けてしまった。

 

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もう落葉の季節か。

目が覚めてしまったので、ちと早いがテントを出ることにしてみる。気温もそこまで低くはなさそうだ。

が、前室のファスナーを開けた途端、思わず息を呑んだ。

 

 

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霧だ…。

昨晩もそこそこ暖かかったからだろう。山間ということもあり、空気は濡れ、辺りには目に見えるほどの水の粒子が舞っている。テントもロケットⅢも、結露し放題だ。

 

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一寸先は見えないといっても過言ではない濃霧だが、道路には意外と車が行き交っている。慣れっこなんだろうか。

霧の奥からは、姿の見えない電車が線路を叩く音が聞こえてきた。

…不思議と恐れよりも、好奇心の方が強まる。

昨日の温泉に愛用のヘアブラシを忘れたことに気づいたが、早々に諦める。

霧が晴れ切らないうちにと、劈掛拳の練習もサボッてエンジンに火をつけた。

 

 

 

 

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幸い、危険じゃない範囲で道路の先までは視界が利く。これほどの濃霧は、青森の三沢以来だろうか。

 

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まもなく高知県との県境に到達する。付近には"国境厠"なんてものもあった。

「たしかこの辺りに……あった!」

 

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四万十川名物、沈下橋だ。

沈下橋はその名の通り脚が低く増水時には水没してしまう橋で、代わりにそう簡単に流されないよう石で造られており、欄干などもない簡素なものとなっている。

一応、探せば他の地域でも見られるのだが、近年は安全性を考慮して撤去されることが多く、いくつもの沈下橋が残っているのはここ、四万十川ぐらいとなっている。

 

高知に入り、四万十川沿いを南下する。

 

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岩間沈下橋。今度は沈下橋の全貌が見えたが、流水に耐えきれなかったらしく一部復旧中のようである。

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四万十川は幅が広く曲がりくねった流れの遅い渓流で、段差などで白水が立つ訳でもないから、動いていないんじゃないかと錯覚してしまうほどの静かな川である。

深いのか浅いのかわからない黒い川面と、曲線の内側に堆積した砂の白のコントラストが美しい。

…地図上では、これをのんびりと眺めながら川下りできるように見えたのだが。

 

 

 

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相変わらず四国の道である。

昨日もぼやいたが、これ本当に国道か? バスと押し問答するほどの狭路じゃないか。

曲がりくねった岩肌の細道を越え、ようやく片側一車線に出ても、一息つくころにはもうこの先すれ違い困難の看板が見えてくる。

 

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おまけに工事中の路面はまさかのダートとなっており、冷や汗かきっぱなしであった。四国の工事はよーしゃねーなぁ!

 

 

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そうこうしているうちに霧は晴れ、暖かな陽光が渓谷を照らし出してくる。

 

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道はヤバいが、景色もヤバイ。ところどころで一時停止しつつ、のんびりと川下りを続けた。

 

 

 

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そしてたどり着いたのは勝間沈下橋。

ここは、車でも比較的アクセスしやすい道が接続されているのだが……。

「いやいやいやいやいや」

やめとけって。

もし落ちたらどうするねん? いきなり突風が吹いたりしたら、冗談じゃなく落ちるぜ、旅の終わり、いや最悪死や。

ひとまずロケットⅢは国道に置いて、歩きで橋を渡ってみる。

 

 

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意外と、道幅は広い…か?

写真を撮っていると、工事用車両のダンプが何食わぬ顔で橋を渡っていく。

「あ、当たり前のように…。」

それがしかも、短時間で何台もだ。

 

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風も凪いでいる。

この景色を見る余裕はないだろうが……、よし。

 

行こう!

渡ることに意味がある。ここで恐れてちゃ、四国のライダーたちにいつまで経っても追いつけないぜ!

ロケットⅢを進ませ、国道から一段下がり浜へ、そこから真っ直ぐにハンドルを固定し、ゆっくりと、脇目を振らないようにして……。

 

 

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フオオーーーーーーーー!

 

 

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渡った!

無事辿り着いたぞ対岸へ!

いざ走ってみれば、それこそ突風が吹かない限り大丈夫な道幅だった。

が、やはり気が気でならない。一往復したら、満足至極な橋である。

 

 

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「いやぁ、四国のドライバー、ライダーってほんとに優秀だなぁ……。」

ここ数日味わって来た四国路の、究極系を味わった気がする。

その究極系ですら、地元の人々はのほほんとした顔で走り去ってしまうのだ。恐ろしい。

恐ろしいと思う反面、同じ道を走破できた誇らしさもどこかでは抱いていた。

 

「今後もまだまだ、こういう道が続くのかなぁ…。」

と口に出すと、ちょっと憂鬱だが。

まぁ、なんとかしてみせよう。

私だってこう見えても、このデカブツバイクで日本中走ってきたライダーなのだから。

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