風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

四国の道

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連泊という形になった、室鼻公園にて目覚める。

愛媛最後の日は…、温泉にでも浸かってゆっくりしようかな。

 

とはいっても、徳島との県境がいくらなんでも遠すぎる。多少は近寄っておくか。

八幡浜から海沿いの国道378をチョイスし、宇和島を目指す。

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このみかん畑ともお別れかな…。

 

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けっこう早く目が覚めてしまったせいか、空もどこか寝ぼけ気味で、海は霞んでいる。右の方に見えるのは、昨日行った佐田岬方面だろうか。

堤防沿いには相変わらずデカい店などもなく、ご老人が手押し車や猫車を押したりして日常をゆるりと過ごしている。

 

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…本当に国道なんだろうか。

昨日みたいな細道が続く。

四国の山、とくに439(ヨサク)線は行かない方がいいよ!””四国の山の国道は険しいですからね、四国のライダーが上手いわけですよ

なんて宮崎で会ったBMW乗りのおじさんや、トライアンフのスタッフさんは言っていたけど。海沿いまでこうだとは思わなかった。

「四国カルストだって諦めて来たんだけどな…。」

そう簡単に、四国の細道行脚は回避できないようである。

 

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くじらみたいな島も発見。こういうとこだよな、こういう、得体のしれない感じが私の抱く四国のイメージなんだよなぁ…。

 

 

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道は悪いが四国は旅人に優しいようで、グルービング工法の手前ではライダーへの注意喚起が掲げられ、路肩にはずうっとサイクリスト向けの案内が描かれている。サイクリストにとっては、四国は一周するのにちょうどいい距離なのだろうか。約1,000㎞というし。

そういえば鹿児島の幻空堂さんが、四国はお遍路の文化があるから、旅人をもてなす習慣が根付いているみたいですよと言ってたなぁ。

 

 

 

海沿いから山に入り、それを越えて平野、国道56に合流して闘牛で有名な宇和島市街へ。

国道320に折れて鬼北を目指し、四万十川方面へと向かう。

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松野町の広見川流域へ。これが高知の四万十川に合流するはずだ。この近くに『ぽっぽ温泉』なる駅併設の温泉があるみたいだし、今日はここで休もう。

 

 

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松野町は森の国なる異名を持っているらしく、天然鹿の産地でもあるらしい。そこここでジビエののぼりが上っていたので、松丸駅前の『カフェレストラン トミー』でジビエコロッケを頂いた。

鹿肉って初めて食うかも……んん、これは……。

職人が迅速適切に解体処理をしているというだけあって、臭みはなく食べやすい。美味しい。

料理人の腕がいいのだろう。コロッケの衣を破ると中からフワッフワのミンチが溢れてきて、食まずとも口のなかでホワホワとそれがとろけていく。鹿肉というより、このコロッケが素直に旨かった。

 

服装とバックパックを指摘され、旅人ですか?とマスターに尋ねられる。

「四国は初めてなんですね。どうですか、四国は!」

「うーんそうですね…。」

得体が知れない、なんてとても言えないので。

「先日は佐田岬に行ったりしましたが、本州にはないスリルが味わえますね。道が細くて…。今日通った道もけっこう険しかったんですが、でもそのぶん…」

 

 

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そのぶん、どこか苦労した甲斐があったという景色が見られて。決して走りやすくはないが、逆に言えば飽きることもない、楽しい道が張り巡らされている。

霧がかかっていても、曇天でもいい。その先で青空を拝めれば、どんなに肝が冷えても進んでいける。四国って、そんな場所なのかもしれない。

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