風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

教訓

38

 

 

「天気予報なんてアテにならんな……」

寝袋にくるまったまま歯を磨いていると、フライシートからポツポツと軽やかな、だが残酷な音が耳に届いてきてうんざりする。

 

しかし、まぁ。前にも雨に打たれた日があるし、コートを羽織っていけば走れるだろう。

雨でぐしゃぐしゃになったテントを無理くり袋に突っ込み、緑の森博物館で勧めていただいたスポット、『手賀沼』へと舵を切る。

 

そう、今日から千葉県に突入するのだ。

 

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正直、少し前まで埼玉から早く抜け出したいなんて思っていたが、いざ県越えをすると少々寂しさを感じる。ここ一週間で出逢った人々の顔を、うっすらと思い起こした。

 

 

初日からお世話になっている国道16号を、野田から柏に向けて南下する。

水没防止のためiPadの地図は使えないが、手賀沼は16号のすぐそば。なんとかなるだろ。

 

 

…という考えが、甘かった。

 

手賀沼の看板が、見つからない。もう過ぎたか、引き返すか? いやまだ先か?

普段だったら、まぁ、ちょっと止まって位置確認してみるかとなるところだが。無情に、終わりを知らず叩きつける雨が、思考を麻痺させた。

 

立ち止まるにしても、iPadが濡れる恐れがある。というか、グローブがグシャグシャで着脱しづらい。できればもう止まりたくない。

屋根が欲しい。屋根が欲しい。でもどこにもない。16号をひととおり南下しても、引き返して北上しても、屋根付きの飲食店などどこにも見当たらない。屋根がここまで恋しいとは。

 

探しているうちに、燃料が地味に削られていく。いやそれよりも何よりも、手が冷たい。もう、指先の感覚がなくなる。クラッチをちゃんと切れているのかもわからない。

鼻水が出る。昨日温泉で暖めたばかりの、体の芯が冷える。明らかに集中力が鈍っている。雨天時特有の伸びる制動距離に加え、空走距離も伸びている。危険だ。でも止まる場所が見つからない。トイレにも行きたくなってきた。息が荒い。国道なのに道が悪い、デコボコだ。。。

 

 

 

運動しているわけでもないのに、息が荒くなる。もう、ダメだ。なりふり構っていられない。体感的に1時間以上走ったあたりで、商業施設の立体駐車場に飛び込んだ。

 

 

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ロケットⅢを停車すると、一息のうちにコンクリートの壁にへたりこんだ。120円のコーヒーを買って、心を落ち着かせる。

 

「大げさだけど……今回は命がヤバかったな…。」

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決めた。雨の日は、どんなに暇だろうとバイクでは移動しない。おとなしく、徒歩で庄和散策でもしてればよかったのだ。

体力が消耗…どころか命の危機もあるうえに、何よりテントの撤収作業などをしているあいだに、電子機器が水没してしまう恐れもある。走っていても楽しくないし。

 

 

まぁ、これも一つの教訓。今後活かすとしよう。

近くのサイゼリアで食べたハンバーグステーキが、美味かった。なぜか、笑った。

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