離島の離島
22時過ぎに原稿を書いていると、小学校の恩師から生存確認のお電話が。ありがたく数分、お話させていただく。
こんな私でも心配してくださってる方がいるとは…。
気合を入れ再びキーボードを叩いていると、また着信。
今度は、神奈川住みの時代によく行っていたスナックからだった。
“みんな心配してるよ”
と、常連客の方々が交互に受話器を代わってくれる。
…こんな日もあるんだなぁ。
0時過ぎ、コンビニ弁当を食べてテントを抜け、歯を磨く。
見上げると、さすがに星空が綺麗に見えた。
「土浦、新潟、長野…、親戚の面々は元気かなぁ。」
亘理、久慈、五所川原でご飯をくれた人たちは、何をしてるかなぁ。
そんなに時は経っていないが、そんなに時が経っている気がする。
無事、完遂せねばなぁ……。
10月14日
「今日は、離島を攻めたいと思います。」
というのも昨日道の駅を出発する時、気になるものを目撃していたのだ。
本部から来た方面に、ながーい橋が見える。
「なんだぁあれは…絶対楽しそうに決まってるじゃないか……。」
昨日無理をしてでも一周したのは、あそこに朝イチで向かいたいのもあった。
あそこを走ることを想像していたら、いつもどおり6時に目が覚めてしまったしだい。早速行ってみましょー。
マングローブの群生地を横目に、まずは屋我地大橋を通って屋我地島へ。
それから県道110号沿いに走れば、
見えた見えた、見えてきましたよぉ~~~!
写真もそこそこに、アクセルをグイッとひねる。
「ホォ~~~~~↑↑!!」
宗谷サンセットロードで上げたのと同じ、嬌声を上げる。
山口県、ごめん! こりゃ天気も相まって、角島大橋以上だわ!!
横風もなく、穏やかな海の上を滑空するこの快感。また味わえるとは…。
古宇利島へ上陸し、振り返ってみる。
んーん素晴らしい直線道路だぁ…。
角島もそうだったけど、なんで一つ波があるんだろうな。
見上げるとオーシャンタワーなる展望台があるが、有料だしそもそもまだ開店していないので島を一周することに。
北側へ回り込むと、サトウキビ畑が見えてきた。
…サトウキビでいいんだよね? 植物はてんでダメだ。
浜の方へ降りられるようである。砂利っぽいので、ロケットⅢは置いて徒歩で。
看板によるとここの浜は『ティーヌ浜』というらしく、ハートロックなる岩がある縁結びの場所なのだそう。否応なく群馬のロックハート城を思い出す。
ふむふむ、”アダムとイヴ伝説の地”…なるほど嘘だな。
ロックハートは正真正銘由来があっての名だったが、果たしてこっちはどんなもんかねぇ…。
砂利の駐車場から浜までの下り路はけっこう長く、足場も悪いため海水浴には適さなそうだ。
『となりのトトロ』に出てきそうな草のトンネルの先に、青い世界が見えた。
「あ、なるほどこれはハートロックだわ。」
疑って悪かった。これは確かにハート型だ。変な伝説をこすりつけたい気持ちもわかるくらい、奇妙な形をしている。
奇岩に気を取られてしまったが、見渡せば絶品級のビーチである。
沖縄の海は、なぜこんなにも綺麗なのだろう。
流れ込む黒潮に栄養が少なく、プランクトンなどの不純物が少ないこと。サンゴが多く浄化作用が盛んに行なわれていることが、透明度の高い所以らしいが。
それとこの熱帯で伸び伸び暮らす動植物たちの姿が相まって、楽園に見えるのだろうなぁ。
いやーーー、独り占めしちゃってていいのかなぁここ。
天気は良好、風涼し。
市街地はてんで散々だったが、沖縄の大地は、私を喜んで歓迎してくれている。
自惚れかもしれないが、そんな気を覚えるのには十分すぎる空間だった。