別世界
10月13日
ハイビスカスっぽい花。
南国風の道の駅
そして青い海。
…! 俺は今、沖縄にいる……!!
朝目覚めて、ようやく実感した。
さぁさ、劈掛拳の練習をちゃっちゃと終わらせて、南国の冒険に出かけようじゃないか。
おおー青い! きれいな青!
“1日あれば、沖縄は一周できる”
昔、オンラインゲームで知り合った沖縄の友人が言っていた言葉が、妙に心に残っていた。
こんな景色を見ながらのんびり走り続けていれば、地図を見る限りたしかに一周はできそうだな…。
そう走り”続けて”いればの話だが。
「できるわきゃねぇだろーーーーーーーーー!!!」
これだ! これだよ俺の思い描いていた沖縄は!
白い砂浜碧い海! 素晴らしい! 素晴らしい! やっぱり海はいい!
うわぁーーーーなんて透明度なんだ!
波打ち際に堆積した貝殻などが、波が寄せるたびシャラシャラと音を立てている。
別世界。ここは日本だが日本じゃねぇ。別の何かだ…!
勢いあまって劈掛拳の套路をしたりして、しばし鏡地ビーチを堪能する。
その後、本島北端の辺戸岬を目指す。
これまた歪な形だなぁ…。
石碑には沖縄が返還されたことを慶ぶ旨が書いてあった。
そうか、この先に本州があるんだもんなぁ…、昔の人はここから日本を想っていたのかもしれない。
岩手とかを思い出す岩が立ち並んでいる。ここもまた最果て感があるな。
折り返して、県道70号で今度は島の東側へ。
海も良いが、森も離島らしさが際立つ。本州では見たことのない草木が生い茂るやんばる国立公園はまるでジャングルで、急に脇から恐竜が出てきても驚かない。いやそれはさすがに驚くか。
なんていうのかな…、福島のアクアマリンにはあるんだけど、よく水族館で作られる熱帯魚展示コーナーを、バイクで駆け抜けている感じ。
ところどころに「ヤンバルクイナ ロードキル多発 注意」とか「傷ついたクイナ 死骸を見つけたらここへ連絡を」といった看板が立っており、なるほど大切にされているのだとわかる。挙句の果てには、野生動物用のアンダーパスを作るため、片側交互通行の大工事まで行っている次第だ。
平日でもバイク乗りは案外見かけるものだが、沖縄だからだろう。流石に私以外、誰も走っていない。
インカムを切ってみれば、走っていても鳥たちのさえずりが聞こえる。青々と生い茂る草木は、陽の光をよく反射し道を照らす。
ここは、生き物の楽園だ。
「うーわー、まじでジャングルじゃんかよぉ……。」
ここまで広大だと、さすがに気後れするのだが。
なんていう木なんだろう………。
さて、と。
景色が良いのは結構なのだが。
「ガソリンスタンドどころか、飯屋ひとつねぇなぁ……。」
目立つのは、”WARNING”と書かれた米軍基地のゲートだけである。
「あ、ここが有名な辺野古基地なのね…。」
さすがに写真は撮れなかったが、車両2台が通れるほどの狭いゲートに、警備員が肩触れ合うほどの密接さで6,7人びっしりと並んでいるのが見えた。おっそろしいなぁ…。
国道329に入ると、道が広くなる。
街も近くなってきただろう、さすがに食いもんがあるだろうが…。
続く