幕間休憩
「珍しく良い景色だな…。」
10月9日
不知火海を一望できる、安宿にしては結構なロケーションだ。
台風の影響かはたまたこの海の特徴か、風がゴウゴウと海上を吹き渡り波を動かしている。それがぶち当たるこの部屋は、少々揺れているとさえ感じた。
「晩飯買いにがてら、ちょっと散歩してみるかな。」
国道3号線を、コンビニへ向けて1㎞ほど歩いてみる。
片側1車線。渋滞こそ起きないが、交通量は多い。主要道路は内陸の方にあるのだろうか。
この人らは何をして暮らしているんだろう。街を見てみないとわかんないな。
気になる階段。
でも今日はいいや。
「宮地獄神社…」
地獄なのか………。
公園の奥にも神社
この家は…、公園を突っ切らないと入れないのか……。
米ノ津交番。看板には鶴が描かれている。ここは渡来地らしい。
“検問所”って書いてあるけど、この木門はその時使うのかな。
歩いてみれば、次から次へと”気になる”が飛び出てくる。それを確かめるのも置いておくのも、その人次第。
散歩なんてのは、どこだって同じようなもんなんだなぁ。
それが今日は、家の近くからはるか南の果ての地に移っただけだ。スケールアップした散歩、それが旅っていうものなのかもしれない。
「もう鹿児島か……。」
思えば、遠くまで来たもんだ。
北海道の最北端から、海を見て山を見て、気になるを色々見て、ああそうなのかと納得して。
復路がまだ残っている県もあるが、鹿児島で29県目だ。そろそろ折り返しを過ぎたころだろう。
「ここまで来て完遂できませんでした!なんてなったら面白いんだけどな…。」
そうはならんのだろうな。
明後日の晩には、沖縄行きのフェリ―に乗る。どんな景色が見られるんだろうか、楽しみだ。
楽しみだ。
旅の疲弊は確実に表れてきているが、ただとにかく、楽しみながらいければと思う。
楽しければ、基本並大抵のことはなんとかなる。