風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

昇天




前回より


107

 

一旦カルデラへ降りて、阿蘇山の方へ向かう。

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んーんなんて雄大な景色なんだ。なんて雄大な……!

だが、両手を上げては喜べなかった。

 

何故か唐突に、SIMカードを読み込まなくなってしまったiPad Pro。何度抜き差ししても、再起動しても結果は変わらない。

何故かGPSは働くらしく地図が見れたのは幸いだったが、故障か…?という不安がぬぐい切れず、阿蘇の大自然に100%感動できない。

 

 

再び麓の森を抜け、視界が開けたと思いきや標高を一気に上げる快走路へと導かれる。

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「くっそーーーーーーーーー!

 iPadさえ無事ならばーーーーーーーーー!!!

どれほど気持ちが良かっただろうか。

 

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グングングングン標高が上がる。カルデラの町はどんどんどんどん小さくなっていく。

なんていうことだ、これはもう、昇天だ。昇天していくかのような道である。

疲れと不安と感動が入り混じって、もう頭の中は真っ白であった。ここは天国か?

 

 

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ここが草千里。

まさに、千里に渡って草が続いている。

いや、走ってきた者ならわかる。この草はこの山のみならず、先ほどの大観峰はおろかはるか先まで、万里以上にわたってつながっているのだ。

たかだか何十数㎝もの草が、寄り集まればここまで感動できるものか。

 

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活動中の様子もしっかりと拝める。故郷は福島の、吾妻山を思い出すなぁ。

 

 

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そこからはひたすら一気に下り、国道325へと降りて57号に戻る。

本当は南阿蘇の道の駅に世話になる予定だったが、だったが……。

 

 

~~

auショップにて

ICカードの不良の可能性もありますので、違うSIMカードで試してみますね。」

「はい…。」

頼む、頼む…! これで動いてくれ、SIMカードの不良であってくれ………!

 

 

 

「あ…、やっぱりダメですね………。」

現実は非情だった。

 

なんでだ…、先代が故障して交換してから、まだ1年しか経ってないじゃあないか………。

「修理か、新しく購入かになりますが…。」

「……買います。」

保証は切れているし、Appleのことだ、修理代も馬鹿にならんしそのくせ戻ってくるのも遅いだろう。

あと数日すれば沖縄に入る身だ、貴重なナビゲーターを失うのは避けたい…。

 

 

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ひとまず、一番安いモデルを提示していただいた。

第8世代だが、ボリュームダウンの10.2インチ……容量も32GB………。

 

ふぅーーーーーっ………。

 

金………。

まぁ………、仕方あるまいよ。

 

 

 

そういえば今日は、何も食べてなかったな……。

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隣にあったおぐらの唐揚で、唐揚げから肉汁を滴らせる。

…私だって、涙を滴らせたい気分だ………。

 

 

木村さん、今年は後厄ですね

なんて旅立ち前に淵野辺のバーで言われたことを思い出す。

 

GoProにカメラ、パソコン、そしていよいよiPadだと………?

おかしい、おかしいだろ……!

そりゃあいつもと違って過酷な環境では使っているだろうが、ここまで一気にことごとく無惨に、壊れるか……!?

 

「つら…」

 

auで手続きをしていたから、もう辺りは真っ暗だ。今晩、どうしよう…。

野宿場所、ひいてはスパ銭を探し、夜の熊本市を疾走する。

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「あはは、あはははははは……!」

ヤバイ。マジでおかしくなってる。

慌てて一旦バイクを停め、平静を装った。

 

深呼吸しろ、深呼吸を………。

落ち着け。

 

考えろ、ひとまず前のiPadも、家庭で使えるだけまだマシじゃあないか。たまたま寄ったauiPadの在庫があったのも不幸中の幸いだ……。

まだ旅が続けられなくなったわけじゃあ、ない。

 

「戦え、戦え…。進み続けろ、生き延びねば………。」

自暴自棄になっていた頭を、夜風に当ててとにかく冷やした。

「…こんなときだからこそ、休んだ方がいいな……。」

損失が生じたからと、混乱状態のまま野宿をしてさらにミスを犯したらたまらない。

例の如くGoToトラベルを使い、付近の一番安い宿を探した。

 

…もう駄目だ、熊本は、ちょっと休もう………。

 

「ちょっと低いですけど、大丈夫ですネー」

受付で検温されたときに言われた一言が、今のコンディションを物語っていた。

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