風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

内輪と内輪と

~前回より~

 

 

忍城址から足袋のまち方面へ歩いていると、あるのぼりが目に飛び込んだ。

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あっこれは初日に教えてもらったゼリーフライ!!

思わぬ伏線の回収に喜び、フライの本舗という『たかお家(んち)』へ上がり込んでみた。

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「こんばんは」

と挨拶すると、こんばんはと店員の老婦人が返してきた。席の案内などはない。

…ムム。そういうクールスタイルのお店ですか。

 

手近にあった席に座り込み、「ゼリーフライってありますか…?」と恐る恐る主人に聞くと、「はい」と一言返ってくる。

その数分後。

 

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来た。これが、ゼリーフライ…??

というか、単品で来ちゃったな……。ご飯頼めばよかった。

まぁいいとひとまず頬張ってみると。

 

…あれっ、お芋か!

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パリパリの薄皮を噛みちぎると、やわらかな白い生地がふんわりと口に漏れてくる。これは…いわゆるコロッケに近いものですな。

コロッケと違って皮がお好み焼きのように薄いので、よりやわらかな食べ物って感じ。たしかにゼリーのような…。しかしソースがかかっていてしょっぱいから、刺激不足ってわけでもない。

聞いてみると、おからとじゃがいもをベースに作っているものだそうで、簡素な見た目に見えるが仕込みがけっこう大変らしい。じゃがいもを10㎏は使うそうで、練ったりするのに力も要るから、やっているお店は少ないとのことだ。

「お祭り用に500枚も作ったんだけどね。コロナウイルスのせいで中止になっちゃったから、今大量にストックがあるのよ。」

と、老婦人がため息まじりに話してくれた。

ああ…それは辛い。ほんとコロナって…ダメな奴だな~。

 

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「フライも食べてってよ」ということで、行田フライ。こちらもお好み焼きに似たものだが、かなりもっちもちしたやわらかい印象。おかげで、お腹はふくれた

 

 

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ゼリーフライ大使…

 

それはそうと。あとから店員に「〇〇さんこんにちは」なんてお客さんが何人も来てお話しているあたり、どうやらここはクールというより、常連さんとのつながりが強いお店のようだ。

よーするに私はよそ者。心ぼっそいな~。とフライをついばんでいると、

「すみません、犬を連れているんですけど…」

と、今度はご新規さんっぽい夫婦のお客さん。…ん? あれ、もしかして。

 

「もしかして、さっき忍城ですれ違いませんでした?」

隣に座った奥さんに聞いてみると。

「ああ、お会いしましたね! …ええと、なにかパフォーマーの方なんですか?」

よかった。これで私も心細さから解放される。武者修行の旅なんですと間違ってはいない答えを返し、こっちはこっちで内輪話をすることにした。

 

「もう、主人も自分も70歳は超えてるんですよ。だから、平日でもこうして観光ができるんですよ。」

とてもそんな年齢には見えない…ええと、JUJU似のご婦人が、丁寧に話してくだすった。

「でもその…すごいですよね、ご高齢になっても歩いて観光してるなんて。」

「実は俺は前、腰を痛めてたんだけど、病院でボルトを6本打ってもらってさ。こうして歩けてるのよ。」

と、夏目漱石のような立派な髭が似合う旦那さんが語る。

「旅してるんだって? この辺だとそうだねぇ…。マイナースポットとしては、『聖天宮』があるよ。五千頭の龍が飾ってあってさ。タイ…だったかな、の人が建ててるから、日本じゃないような建物なのよ。」

五千頭の龍…。それは興味深い。坂戸にあるらしいけど……ギリギリ次行く千葉と逆方面じゃないな、明日行ってみようか。

「聖天堂とか聖天院とか、ややこしい名前があるから間違わないでね。聖天宮は宗教法人かなんかだった気がするけど、そういうの映さないNHKでも15分取り上げられてるぐらい見どころだから、よかったら行ってみてよ。」

 

今日のように出歩く機会はなかなかないと仰るご夫婦だが、そうは思えないほどスポットについて博識だ。

「群馬だけどさ、榛名山に行ったら、水沢観音は行ってみるといいよ」「長瀞は行った?あそこの石で、よくガキのころはイタズラ書きしたもんだよ」……言われてますよ坂野さん。(33日参照)

 

…とまぁ、しばしの時間を費やして。

「じゃあ、旅頑張ってね。」

と、一言だがありがたみのある言葉をいただいた。

 

狭山からいらっしゃった小林さん夫婦。とワンちゃん。私も、他人にいい場所を教えられる人になります。

思わぬところで次の目的地を決められた私。だが今日は再び、足袋蔵へと向かって歩を進める。

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(撮影:たかお家ご主人)

 

                                                                      ~続く~

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