風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

俺たちはドリーマー

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…さて、テントも張ったことだし、さっきパソコンにダウンロードしておいた曲でもウォークマンに入れるか…。

 

パソコンを立ち上げる。

 

1分後に電源が落ちる。

 

「…あれ?」

「不具合かな。まぁいいや、再起動~っと…。」

 

また落ちる。

 

何度やっても、落ちる。

 

 

 

え? え? なんで?

 

故障した?

 

ウソだろ?

 

Gopro、カメラに引き続き、パソコンまで?

オイオイどーすんだこれ、何も書けなくなっちまうぞ…。

 

目の前が真っ暗になる、という表現がどのようなものか、わかった。

何も書けない。

それは、私にとって旅ができないとも同義のこと。

 

「なんで、なんでこんな試練ばっかり俺が…。」

思わず弱音を吐いてしまう。

 

マウスのサポートセンターに問い合わせても、

残念ですが、データは削除されてしまう可能性が高く…

とのこと。アテにならない。

 

近くに信用できそうなパソコン修理屋は…。神戸にパソコンドック24か…。

 

そこまで行くしかないのか? もしそこでも、データ削除なんて言われてしまったらどうする………?

 

悩んでいる間に、横ではテントにキャンプ禁止なんて張り紙が貼られている。知るか。今はそれどころじゃない。

 

 

どうする…どうする………。

 

ひとまず、思い当たる節は自分で処理してみるか。

最近やったいつもと違うことといえば…、さっきiTunesを開いたな…。

 

 

 

 

 

結果的に、それが原因だったのかはわからないのだが。

ネットにつなぎiTunesのキャッシュをクリアしてあげたら、症状は収まった。

「うあ~~~~~~~~~~、マジでよかったぁ…。」

木村峻佑、今までにない安堵の嵐。

と同時に、また再発するのではないかという不安もあるが…。信じるしかあるまい。

 

パソコンを休ませ、テントの中で人目を忍び晩飯を食っていると。外からなにやら軽快な音楽とともに、韻を踏む歌が聞こえてきた。

おお、ラップってやつ? 初めてナマで聴いた…。

思わず這い出てみると、広々とした公園の街灯の下、二人の若者が手を動かしつつ韻を紡いでいた。

 

1曲終わったところで、拍手と共に話しかけてみる。

「すごい。それって自分で作ってるの?」

「あ、ハイ。即興で歌ってるんですよ。」

すげぇ。即興であんなに語句がペラペラと出てくるものなのか。

私も一応文に携わっている者とはいえ、一語一語を(一応)吟味しながら文字を紡いでいる身。到底分野が違う。尊敬してしまった。

 

夜中の公園に三人。座り込み、暫く語り合うことになった。

 

IMG_4528.jpg

彼らはまだ高校3年生の歳だそうで、どちらも来年には就職予定だそう。左の子は料理人として、右の子は音楽家としての道を歩むそうだ。ラップは共通の趣味で始めたものだそうで、なんとまだ2ヶ月だそう。2ヶ月にしてはサマになってたなぁ。

「小4のときに観たドラマに憧れて、シェフになろうって夢を持ったんですよ…」

「今まではなんでも中途半端だったんですけど、音楽に関しては熱心に取り組めて。頑張って曲とか作ったりしてるんです…」

出で立ちこそ俗にいうチャラいってやつだが、自分のやっていること、やりたいことを詰まることなく話せている彼らの弁には、確かな熱意を感じられた。

それがどうにも嬉しくて、私もいらん経験談を話してしまったりする。

 

「いいね、いいよ。自分のやりたいことをやってんじゃん、二人とも! 大学なんか行かなくていいよ!

 俺もさ、高専出てから大学行かず、就職先も2ヶ月で辞めて。そのときはコンプレックスやばかったよ。…でも、自分の好きな分野で一応は生きていけてる今なら、もし同窓会に参加したとしても胸張れる。

 金稼いだり、結婚することより、胸の張れる自分でいるほうがよっぽどいいよ!」

私如きが恐縮なのだが、同じく母子家庭だという彼らの境遇に自分を重ね合わせてしまい、ついつい話過ぎてしまった。

が、そんなつまらない話を二人は真剣に聞いてくれている。

 

「ごめんね、なんか偉そうに話しちゃって…。」

「いえ、自分こういうの好きなんで。人生の先輩に、いろいろ教えてもらうの。」

次いで、こう言ってくれた。

「旅して、自分の好きなことして生きて…、カッコいいっす。」

 

カッコいい。

 

はぁ………。

最高の誉め言葉だ。

 

「ありがとう、ありがとう。君らも超カッコいいよ。まだ高3でしょ? 絶対俺なんかよりビッグになれるよ。頑張って。自分を信じて、何言われても頑張って。」

若干涙ぐみながら、精一杯応援した。

 

 

 

今の若い子らってさ。あんまり夢とか持たないじゃない?

そんな、昔のとある会話を思い出す。でも。

「よかった…、よかった。今でも、ちゃんと夢を持ってる若者たちがいて。」

そんな後輩たちを、少しでも勇気づけられて。よかった。

 

パソコンが一時不調になったことで、逆にわかった。普通に文を紡ぎながら旅ができることの、いかに恵まれていることか。

夢を持つ若者たちに出逢えて、元気をもらった。まだまだこの世界、捨てたもんじゃないぞと。

 

俺も、がんばらなくっちゃ!

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