風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

誘い水

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夜闇に立ち込めた冷気を切り裂く、朝の日差しは優しく暖かい。

 

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正直ここで5日間潰したいほど魅力的な野営地だったが、状況はそれを許さない。

トライアンフがあるのは彦根、レンズが届くのも彦根だ。

高島からは北側・南側どちらから回っても同じぐらいの距離に見えたので、あえて京都から離れる北側を選んだ。

ビワイチといきますか。」

 

 

 

湖畔をずっと沿って行くと、至る所でテントが見れる。琵琶湖畔だけでなく、その外側に点在する小さな池の周りにまでもだ。

滋賀県は、とんだレジャー大国だな…。

 

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昨日居た湖畔もそうだが、辺りには水鳥が数多く生息している。こんな光景は、長いこの旅でも初めてだ。

湖の県ならではってことか。滋賀県の人は、水鳥が見れる幸せを知らないのかもなぁ…。

 

 

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ライダーたちの間では有名な、マキノのメタセコイア並木道でしっかりと記念写真も押さえて。

 

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国道303号沿いに琵琶湖の北岸へ進めば、ちょっとした山間部に入る。

その景色も別段特別取り立てることはないのだが、良い具合にのんびりしていて心地がいい。そろそろ収穫時期となった稲穂が、黄金色に揺れている。

 

日曜日ということもあり、すれ違うライダーたちも多い。

お互いに手を振り合いながら、琵琶湖からの風を浴び街道を快走する。

さすが琵琶湖が押しの県ということもあり、湖畔の道はよく整備されていて非常に走りやすい。

走るのに適していすぎる。頭がバカになりそうだ。

滋賀県、うらやましいなオイ…。」

バイクを持ち込むのは明日。本当は彦根まで行く予定はなかったのだが、どこかで立ち止まるつもりなどとうに消えていた。

 

 

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長浜、米原から見る琵琶湖は、対岸が霞む海のような景色になっていた。

そういえば昨日は対岸がはっきり見えたな…。ちょうどよい恵まれた天気だったのだろうか。

 

 

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彦根に着き、よくわからん段差のコンビニで立ちゴケしつつも無事15-45レンズを受け取ると……………。

 

 

 

 

 

 

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あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

ダメだ。やっぱり見ていると、入りたくなってしまう。おいでよって呼んでいる。

旅人の分際だということも忘れて、午後は湖水浴にいそしむのであった。


ただ揺られていた昨日とは違い、がんばって泳ごうともしてみたのだが。どうにもやはり、波がある中で泳ぐのは難しい。

結局は行き交う水上バイクに轢かれないかとびくびくしながら、ただ波に揺れているのであった。

「いやぁ、初心者感まる出しだなぁ…。」


いつか暇があったら、こういうアクティビティにも通じてみたいものだ。

水上バイクは…。なんか、カッコつけてもカッコつかないんだよな。陸のバイクと違って障害物はないし、落ちても痛くないし…。

なんて考えながら見つめていると、ズザザザザ、ともの凄い快活な波音が聞こえてきたかと思いきや、直後目の前を大きな影が横切る。


ヨットだ…。

「スゲェ! そんなに速度出るものなんですか!」

思わず感嘆すると、

「おお。けっこー出るよ、速度は。」

と壮年のよく日焼けした男性は笑って、また沖へと巧みに帆を操って出て行った。


……カッケェ…。

やっぱ、誰でも乗れるもんってのはロマンがないよな。

もし、もし買うとしたら、ヨットだな。うん、決めた。

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