能登抜き
8月22日
「もしかして、居合の修行してる方ですか?」
「えっはい、そうですが…。」
禄剛崎を後にしようとした際、話しかけられる。
どうやら先日訪れたライダーズハウスのマスター・大場さんが、私のことをフェイスブックで流していてくれたらしい。
「似たトライアンフだなって思って、もしかしたらって思ったんですよ~。
修行の旅、頑張ってください!」
思いもよらぬ声援に心奮わせられ、能登を折り返す。
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本日は雲が厚く、晴れ間はときどきといった具合。四六時中青い海は見られないが、その代わり気温が低く快走を続けられた。
揚げ塩田、垂水の滝、窓岩やトトロ岩といった奇岩の数々…。いろいろと観光名所はあるようだが、すべて走りながら見るだけに留める。今日はとことん走ろう。
が、昼時だったということもあり白米千枚田は見物させていただいた。
これ、稲刈りとかすんの大変だろうなぁ…。
てっきり”多そうだからなんとなく”千枚田と名付けているのかと思ったが、実際に大小合わせて1,004枚もの田が並んでいるのだという。伊達ではないのだ。
昔ながらの人の手による米づくりを継続しているとのことで、その界隈の人からは”日本農業の聖地”と呼ばれているのだとか。
そんな話を聞いたら、ここのお米を食べずにはいられない。
岩わかめときゃらぶき(フキをふかしたものらしい)のホカホカおにぎり、美味しかったです。
添えてあるのは輪島のソウルフード”かかし”。うずらの卵、ウインナー、フランクフルトを串刺しにしたものだ。
(おにぎりセット500円、かかし150円※税込)
聖地の味を堪能してその場を後にしようとすると、今度は昔徒歩旅をしていたという大先輩の男性や、同じく神奈川から来たというご家族に話しかけられたりする。
すかさず名刺を渡し売名行為をする私…。だって話しかけられるのうれしんだもん。
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能登は出会いの地だったな。
そう心に温もりを抱えながら走り続けていたら、能登の海とも別れる時が近づいてきた。
国道249は海沿いから時たま山道に入り、やがて山間の道の方が多くなり…。やがて半島は終わり、羽咋市に入る。
「千里浜なぎさドライブウェイは…。すっ転びそうだからやめとこう。」
夕暮れ近い空を見て、もうちょっとゆっくり走って来ても良かったかな…なんて省みる。だが、走り続けてたいほど良い道だったのも事実だ。なに、また来るさ。
大場さんが言っていた通り、能登は1日じゃ到底回り切れないほど長かったなぁ…。牡鹿や男鹿半島が余裕だったから、甘く見積もってしまった。能登はデカい。
心地いい疲れに欠伸をしながら、本日の寝床を探すのであった。