風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

さざなみに揺られて

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夜が深まるにつれ、浜辺に打ち付ける波も強くなってきた。

ザザーン、ザザーン…。

さざなみが曲を奏で始める。

 

慣れないハンモックでの就寝ということもあり、眠れない。

が、星空と波音を堪能できる時間が増えると思えば、苦ではなかった。

蚊帳越しに空を眺めながら、これまでの旅を振り返る。

 

 

埼玉の森の博物館の人たちは…元気だろうか。

初日の、雨に叩かれ続けるテントの中は、今でも忘れられないな。

あれから見たこと、聞いたこと。全部、ちゃんと覚えているだろうか。

盛岡を流れていた河の名前は…、北上川。ああ、ちゃんと憶えてる。

北海道に渡って、帰ってきて…。どのぐらい経ったんだっけ。

新潟の親戚の家の天井は、未だに思い出せるな。

 

毎日違う景色を見る毎日にも、慣れてきたなぁ…。

 

 

 

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「パラダイスが夢の跡、かァ…。」

朝起きると、すぐにテント類を片付けてしまった。長くここに居たら、気持ちが揺らいでしまう気がしたから。

また予定のない旅の始まりだ。

 

ガソリンスタンドに寄りつつ、能登の先端を目指す。

「珠洲の地図とか、要りますか?」だって。能登の人は優しいなぁ。

 

 

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暫く木造の家が立ち並ぶ、漁師町の間をすり抜けていく。

 

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突端が近づくにつれ、時が止まったように何もない景色が増えてきた。

 

 

 

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途中で眺めに寄ってみた、『ランプの宿』。高級旅館らしい。崖上の駐車場から、バスで下まで降りていくそうだ。

近くには聖地なる『青の洞窟』があり、是非見てみたかったのだが。

 

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「聖地ね…。」

先へ進むことにした。

 

 

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私は半島が好きだ。海に侵食されてできた崖のコーナリングの退屈しないこと、海風の気持ちいいこと、グルリと周ったときの、達成感のあること。

そんな半島へ足を踏み入れたのなら、その突端には足を延ばしてみたくなるものである。

下北の大間崎、津軽の龍飛岬、男鹿の入道崎…。

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そしてここ、能登もそうだ。行かなくては。

徒歩ルートでしか行けないという禄剛崎を上り始める。

 

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けっこーキツいですね…。

 

 

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10分ものんびりと上り続ければ、やがて平坦な岬に出られる。

 

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西洋風の真白な外壁が美しい禄剛埼灯台が出迎えてくれた。

明治の時代、技術指導に来ていたイギリス人が建てたらしい。

 

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ああ、最果てって感じの岬。曇り空が良い味出してやがる。

ここ禄剛崎の海は海上交通の難所であったらしく、昔はここらで狼煙を上げ安全を図ったことから、地名もまた狼煙となったのだという。

 

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波の浸食によってできた『千畳敷』を眼下に、日本海。この先には…、佐渡島が見えるのか。新潟から見えるイメージなんだが…。

半島を旅していると、方向感覚が狂う。日本海を見ていたつもりが、富山湾を見ていたりなど。次第に考えるのが面倒になって、思考を止めるのだが。

 

西には七ツ島、東に金剛崎、それに連なるように北アルプスも望める…とまぁ贅沢な岬だが、この天気ではどうしようもないな。

だが個人的には、こんなねずみ色の海も好きである。少々荒々しく顔に叩きつけられる風が、心地いい。耳につく断続的な波音が、気持ちいい。

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暫く座り込む。この文を書いているのもここだ。

 

 

 

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西を見てみる。こっから本土が見える筈はないのだが、私の目にはこれから続く、旅路が連なって見える。

「まだまだ長いね、にっぽん列島…。」

 

 

新潟が半分ぐらいですかねなんてのは旅に出る直前、床屋に言われたセリフだ。

たしかに位置的にはそう見えるが、数的には石川でまだ17県目、半分にも満たない。まだまだなのだ。

それでも群馬で、「日光」だとか「熊谷」って標識を見たときは、回ってきたなぁってしみじみ思ったもんである。

 

ここ最近は…そう、

ここまでよく来たと自分を労う時もあれば、まだまだだと自分を叱咤する時もあって。気持ちがやや、複雑である。

「まぁ、続けてきたら続けてきたぶん、なおさら続けなくちゃ気持ち悪くなってくる。」

そんな結論に落ち着くのだが…。そうなるとこの旅に、私の旅に終わりはあるのだろうか…。



雲が晴れてきた、そろそろ行こうか。

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