風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

SISTER

「よし、カンパーイ。」

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私事だが、いやいつも私事しか書いていないのだが。

88日は私の誕生日だ。

 

いやぁ、いつも銭湯に行くたびに、ガブガブ飲みたいと思ってたんだよね~~牛乳。

『あずみ野ミルク』にて、周りが皆アイクスリームといったジェラートを買う中、牛乳パックを買って席に着きそれをガブ飲みする。

これが旅人の姿だよ、諸君。

 

喉奥にとめどなく流れ込んでくる冷ややかな乳の味を、堪能する。今日は腹がグルグルいいそうだ。

 

 

 

 

 

あれから、4年か。

思えば、雑誌社に勤め始めたのも88日だった。いつか紀行文を書くために、文の修行にと入ったあの業界で、働き始めた日。

そこで3年余り働いて、準備をして…。

 

さほど月日は経っていない筈なのだが、ここ最近の毎日が濃すぎて遠い昔のようだ。

 

 

 

一体…、一体何度、毎朝駅まで歩いて、電車に乗って、死に物狂いで席に座ったり、立ったりしたろう。ウォークマンの曲だけを友にして、いつも同じ景色を車窓から眺める毎日。

会社に着いて、一体何度、あのデスクに座っただろうか。キーボードのアルファベットがすり消えるまで文字を打ち込み、マウスを動かし、狭い机をラフで雑誌で資料で散らかしながら、消しカスとペン跡にまみれた日々。

一体何度、会社のあの硬い地面で寝ただろうか。サーバーの駆動音を聞きながら、暑苦しかったり寒苦しかったりした夜を何度越えたろう。

怒られたり、たまに褒められたりしながら、夜のホームに進んで、電車に乗って。立ったまま寝た日々。マンションに帰ったら、いつもの納豆ご飯と味噌汁。1ヶ月に一度、大掃除も忘れずに。

何度もスナックに通って。グチを吐いたり聞いたり。酒を呑んで、いただいては何度吐いたことか。

どのぐらい多くのバイクに乗っただろうか。どのぐらい早起きしただろうか。何キロ走ったのかな。あのバイクは良かったな。取材の前日は眠れなかったな。締め切り前の朝は嫌だったな。

誰かを憎んだり憎まれたり、好きになったり、好きになられたことは…ないけど、慰められたり、励まされたり。

風邪を引きながら旗振りもしたな、金策を貪欲なまでに捜したな。

踏み間違えそうになったり、踏みとどまったり。泣きそうになったり、こらえたり。

一人笑って、一人落ち込んで。一人自分を見つめなおす日々。

訳が分からなくなった時もあったけど、今も割と訳はわからないけれど。それでも。

 

 

今日この時のために、俺は生き抜いてきた。

 

「よくやったよ…。」

微笑みながら、空になった牛乳パックを捨てる。

 

思えばこの4年間、誕生日はいつも一人だった。寂しくないといえば嘘になるが、そんな日もまた、好きだった自分がいたりする。

自分自身と、この一年よくがんばったと酌み交わす1日。誰の口出しもない、自分を最もよく知る自分とだけ過ごす、労いの1日。

 

決して自分一人で生きてきたなんてことは言わないが、それでも、日々の苦労は私しか知らない。いつも一人っきりで乗り越えてきた日々なのだから、祝う日だって独り占めしたって構わないだろう。

この達成感は私にしかわからないんだから。私だけしかいなくても、嫌では、ない。

 

 

 

テントに寝転び、よく会社勤めのときに聞いていた曲を口ずさむ

 

 

地下鉄の窓に映り込む 疲れ切った逆さの君が

君の為にこの歌を歌ってる

                                        清水衣与吏

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