風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

国道406

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さすが妙義山。夏場なのにそれほど暑くない。

劈掛拳の練習を終え、昨晩出逢った若手ライダーに頂いたソルティライチを喉に流す。

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グラストラッカービッグボーイを駆っていた、4月免許取り立てだというビギナーライダー。

「カッコいいバイクですね」とテント生活やら旅のことやら色々聞かれて、つい先輩風を吹かしてしまったが…。私より年上だったりして。

 

 

いい汗を流したところで、「さぁ」とエンジンをスタート。今日はいよいよ、群馬で一番楽しみにしていた草津へGoだ。

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国道18号から県道48へ折れ、草津へと北上する。群馬西部は縦のアクセスがあまりよくなく、ジグザグに進む形となった。

 

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それでもなんとか草津へ突き抜ける国道406を見つけ踏み込んだのだが…。少し雲行きが怪しい。道がくねりだし、木々の背が高くなってきた。

国道なら大丈夫だろうと国の仕事に全幅の信頼を寄せている私だが、今までも何度か見てきたように、それらすべてが通りやすい道ばかりという訳ではない。

酷道———。私が嫌いな言葉が、頭をよぎった。

 

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それでもたまに開けた場所に出るから、なかなか引き返す気にもなれないのが山道の恐いところ。

開けているといっても、「どこだよここ…」状態なのだが。路面も良くはない。

 

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途中差し掛かった須賀尾宿は、民家の横に大黒屋とか田島屋と立て札が置いてあって面白かった。

そんなちょっとした宿場町風景に、心を和ませごまかしながら走行を続けていたのだが、ついに。

 

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悪い予感は的中してしまった。このゲートあれだろ、なんかあったときに通行止めにするヤツだろ。

「大型車通り抜けできません」の看板を見た時点で引き返すべきだったか…?なんて後悔もしたが、ここまで来てしまったのならと亥年の私はいつも思ってしまうのだ。いやUターンするスペースがもはやないのだが。

 

道はつづら折りに…といってもいろは坂のように風光明媚な景色が見える訳ではなく、木々が頭上を覆って日を遮り、まだ9時ごろだというのに鬱蒼とした、閉塞した景色ばかりが目に映る。路面はデコボコが多くなり、コーナーのアウト側には土砂がまき散らされている。

ガソリンを贅沢に使い、低速ギヤで慎重に走った。時折すれ違うバイクが心の支え。

 

このコーナーの先は、坂の先は、ロケットⅢで走れる場所だろうか。

気が気でならない状態を30分も続けていると、やっと下り坂に差し掛かる。今度はエンジンに頑張ってもらいエンブレを活用しつつゆっくりと下っていくと、

「なんだっ!?」

 

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木のトンネルが途切れた瞬間、妙義山と似ても似つかない岩肌が目の前に現れた。

今の心細い精神状況の補正もあるのだろうが、その姿はどこか口をへの字に曲げた鬼のような、不気味なものに思えた。緑のトンネルは、さながら私を食べる口か。

今まで、あれの腹の中を走り回っていたのか…。そう思うとゾッとした。

 

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まぁしかし、酷道を抜け出てこられたのは確かなようす。眼下には人里が見えてきた。

坂を下りきると、国道145へ合流。一気に交通量が増え、マスツーリングの一団とも数度すれ違った。思わず手を振りまくる。

 

さすが、山奥の秘湯草津。一筋縄じゃ近づけなかったな。

緩やかなワインディングの国道292を、今度は5速で思いっきり走り抜けたら。硫化水素の匂いは鼻の先だ。

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