風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

山道で入る英国

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高山村で目覚める。

梅雨明けらしく朝日は眩しいが、その名の通り比較的標高が高い場所なのか、やや涼しい。

今日の目的地は、その山の中には似つかわしくない場所にある。

 

 

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ロックハート城。英国の城だ。

 

 

 

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「うおおお…すっげぇなぁ。」

思わず感嘆の声を上げた。

福島のブリテッシュヒルズにも、新潟のブリティッシュガーデンにも寄れなかった英国への望郷が、今ここで叶った。

こんな格好で言うのもなんだが、私はロシアの次にはイギリスに行きたいと思うぐらいには英国好きである。日本フリークではなく、ただの日本好きな男なのだ。

その証拠に私の愛車も、英国式だろう?

 

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どこへカメラを向けても絵になる『ウィリアムズ・ガーデン』で、シャッターを切りまくる。

この美術品は、ひとえにここのスタッフの手が行き届いているからだろう。私は恐らく開館1番乗りで入場したが、せっせと手を動かすスタッフたちを散見できた。

目が合うと、「こんにちは」と挨拶してくれるから爽やかだ。

 

 

いかんいかん、こうしているうちにまた立石寺のように、人で溢れかえってしまう。

庭はまた見て回るとして、城へと急いだ。

 

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…のだが、どうにも足が止まってしまう。

あまりにもイギリス風味が完成されすぎてて、数十歩歩くころには雰囲気にどっぷり心酔してしまった。

 

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ゲームにありそうな、砦の城壁をくぐれば城はもうすぐ。

 

 

 

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うおお。近くで見ると、なんともまた圧巻の佇まいだ。

ちなみにこのロックハート城は、エディンバラにあったものを当時のソヴィエト・ゴルバチョフ元書記長の協力を得、シベリア鉄道を経由して日本に運び込み移築した、正真正銘、本物のイギリスの城である。イギリス古城の移築は日本史上初とのことだ。

 

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エンブレムで興奮。

城はそれほど巨大ではない。恐らく、本格的な戦争を意識して創ったものではないからだろう。

 

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城を建てたウィリアムの部屋。

彼は城主でありながらグラスゴー大学の学部長を勤めていたということで、書斎など博学さ香る雰囲気となっていた。

 

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素晴らしい。

 

 

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スクーンの石を収めた、王座のレプリカ。

モノホンのお宝ももちろん貯蔵されており、女王マリア・テレジアがジェームズ・ヴォン・ロックハートに男爵位を授けた勅赦状などはその最たるものだ。

 

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城内にはお土産売り場のほか、世界のサンタ展なんてものも。

というのも、実はロックハート城が日本へ移築されるキッカケをつくったのは俳優の津川雅彦氏で、彼が子供たちへ愛の形を残すため取り組んだ一大企画こどもの国建設計画の核としてサンタの城が提案されていたからである。

津川氏は城を本物のヨーロッパの古城にしたいと東奔西走。ロックハート城に出逢い、英国政府と必死で交渉して移築の許可をいただいた結果、今日の姿に至るというわけだ。

 

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ロックハート家の祖先サイモン・ロッカードは、スコットランドの英雄ロバート王の心臓をバレスチナに埋葬する命を受け、十字軍による戦火の中、心臓を鍵をかけた小箱に入れることでそれを全うした。以来、家の紋章には鍵に囲まれたハートが刻まれるようになり、家名もロックハートになったのだという。

 

 

他にもまだまだ見どころがある。

 

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ルーン文字が刻まれた階段を上った先にある、風と光の丘のマリア像。ここの傘にはジュエリーが提げられており、お城で結婚式を挙げる夫婦を祝福するそうである。

 

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多分その結婚式が挙げられるであろう教会。

 

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さざえ堂のように上りと下りが別となった鐘楼。

 

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元々は『大理石村』という場所だったということで、石が教えてくれる歴史などあれこれを学べる『ストーンアカデミー』。なんと本物の恐竜の骨も触ることができる。

本当か?と思ったが、たしかに風化し折れた切断面は生々しいものだった。

 

 

他にも石ころアートや、テディベアミュージアムや、ダイアナ妃が使ったロールスロイスとか………

…と、まぁ。語ればキリがない。撮るのもキリがない。写真点数が多すぎて失礼。

とにかく、ここはすごい場所だ。レストランもあるし、9時に来て14時ごろまで散策してしまった。

 

 

 

イングランドでは、この城の敷地で多くの生き物や子供たちが遊び伸び伸びと育ったのだという。元々は心臓を意味するロックハートだが、ウィリアム氏は愛という意味のハートを以てこれを建てたのだろう。

それをここ、日本へ持ってきたのも、とある俳優の子供たちを想う愛ゆえで。そんな背景を知ると、というどちらかといえばいかめしい印象のこの地が、なんとも暖かく、居心地の良い場所であると感じられるのだった。

 

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