風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

カニ食べいこうよ

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県庁所在地といった大きな市街地は、ビル群などが多く一見迷いそうに見えるが、道路は基本的に碁の目を踏襲しており、そこまで東西南北で迷うことはない。

しかし新潟市街地の地形は凸凹が多いようで、あってほしい場所に道路が敷かれてない状況が多く、行きたい方角へ行きづらい。そのうえあってほしい場所に右折可の信号がなかったりして、渋滞も頻繁に起きている。坂道も多いし、ロケットⅢにとっては悲鳴ものだ。

 

歩いて巡ってみてもいいが、連日の暑さによる汗と雨で体はグッショリ。これ以上汗をかくのは御免だった。

かといって銭湯に入ろうと思えば、残高がもうない。カードを使おうと思ったが、新潟店では取り扱っておりませんとまさかのピンポイントで拒否。

おまけに朝は雨が降っていてヒゲなども剃れなかったし、気分は芳しくない。

「なんか…、ここ数日、パッとしないな……。」

 

思えば書きしたためるほど多くの発見が毎日のようにあった今までが幸せすぎたのだが、何もない日もいいと連日過ごせるほど老獪にもなっていない。

何か、この状況を打開せねば。

 

 

…そうだ、ピックアップアーティストとして有名なスタイル氏も本に書いていたな。今までと同じことをしていたら、今までと同じ結果しか出ないと。

即ち、今までと違うことをして流れを変えたいと思う。今できることはといえば。

 

…。

北海道の国道40を、ふと思い出した。

 

 

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走ろう。何も考えず、何処にも寄らず。発見をしようとは敢えて考えず、ただひたすら走ってしまおう。

海岸線に出ると、髭を剃って帯を締め直す。ウォークマンの選曲は、大黒摩季の『いちばん近くにいてね』だ。まだしつこく落ちてくる雨粒を振り払うよう、長羽織をなびかせ始めた。

 

 

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いやぁ、なんでこう…! 日本海側ってのは良い海岸線を持ってるんだろうか。

青森秋田と続いて、新潟もか。店舗など雑念のない、ただひたすら岩場沿いを進む絶壁道路が今の気分にピッタリだった。

北海道ではひたすら日本海側を下ったりしたが、本州でもそれをしたら面白いのかもなぁ。

 

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弥彦山スカイラインも気になったが、今日はどこにも寄らないルール。ハンドルは切らない。

そんな試みに天気も呼応してくれたのか、一転して青空が覆い出す。

 

あーもうこのまま、富山との県境まで行っちゃおうか? 汗も雨粒も湿気も匂いもゴミも埃も、すべて風がすすぎ落としていってくれる。ガソリンはすごい減ってるが、それも気にしたくないほどバイクに乗っていたくなってきた。

 

そんなことはないのだろうが、米沢や小国、そして新潟市と、どうもここは俺を歓迎していないという気持ちが募っていた。だから、走りたかったのかも。

何も見つけられないなら、それは私の居場所じゃない。居場所じゃないなら、移動するしかない。だから、きっと、今の私の行為は、正しいのだ。気持ちいいし。

 

 

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しばし走ると、人がごった返す場所に出る。そういえば今日は連休初日だったな。

この蟹を掲げた商店街は…ああそうだ、蟹の特産地、寺泊か。昔、蟹食べに家族で来たなぁ。

 

残念ながらそんな贅沢品を食べるお金もないので、駐車場を通り過ぎる。…のだが。

「ちょうど、11時半かぁ…。」

腹が鳴り、アクセルが渋る。ちょうどよくあったガソリンスタンドで給油をしていると、ノズルを持ちつつも頭は考えてしまう。

まだ、引き返せる距離だよなぁ…。探せば、クレジット払いできる店もあるのかなぁ………。

 

 

 

 

 

 

—いつもと違うことを、しよう――

 

 

いただきます。

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行列店『汐の華』にて、蟹鮭いくら丼をいただいた。

1,200円で食べられる当店イチオシ名物というカニラーメンもあったが。

知らん! 俺は…俺は今日は、張り切っちまうんだ!と1,958円(税込み勿論予算オーバー)の明細を潔くいただいた。

 

 

 

店を出ると、朝の曇天が嘘と思えるような日差しが頭に突き刺さり、クラッとする。だが人混みの中で、ただでさえ変に注目されてるなか眩暈など起こせるか。

キリッとした表情で人の波を避け、駐車場に戻ると。

 

「んはぁ~~旨かったなぁ! いくらなんて何ヶ月ぶりに食ったろうっ! あの感触…っ、もうちょっと丁寧に味わえばよかったかなぁっ!」

だらしなく口をへの字にとろかすのだった。

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