風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。


飛び立つための羽

ほぼ生えそろい

まだ暗い空を見て

迷いを捨てる

稲葉浩志

 

「寝袋」

 

「テント」

 

「…ほかキャンプ道具は積載済みと。」

 

「各種充電ケーブル、モバイルバッテリー、AC出力対応モバイルバッテリー、防寒用アンダーウエア、下着、カッターナイフやメジャー、救急キット、エマージェンシーヒートシート、ヘッドランプ、カメラ用レンズ、ミニ三脚、チタンチェーン3m、箸、傘、五輪書、パラコード…」

「あとはもう…その他諸々、積載済みっ。」

 

IMG_5914.jpg

 

戦う準備は、できている。

 

 

 

HOTEL LiVEMAX相模原~ :朝

 

あとはもう…心の問題か。

 

窓の外には晴れ空が佇んでいる。青い絵の具を水でうすめ、スーッと塗りつぶしたような。さわやかな青だ。

…だが、ふっと目を閉じてみると。たちまち仄暗い不安と恐れが顔を覗かせてくる。

 

私はこれから、旅に出る。日本を巡る旅だ。

いったいなにがどうしてこうなったのかは、追い追い説明したいと思う。自分でもよくわからないところはあるのだが。

その旅立ちを眼前にして、ただいま絶賛、自分に喝を入れているわけなのです。

 

 

他人にだったら言うだろう。「恐ければやめればいい」と。ただ、男には、俺には一度決めた以上、絶対に曲げたくない目標というものがあるのだ。この旅はもう、やってみたいことというより、使命と呼ぶにふさわしいものとなっている。

 

それに。

 

「カッコいい姿で、旅立ってください」

 

「お仕事ファイトおーです!」

 

「1年なんてあっという間だよ。がんばってね!」

 

理髪店のスタッフ、隣のツルハドラッグの店員、スナックの姐さん。……

 

たかだか職場に近いからと引っ越してきただけの街で、こんな私を、少なからず気にかけてくれる方々がいる。

嬉しいことではないか。幸せなことではないか。このあっという間の人生の中で、応援してくれる人間に出会えることは。

 

 

 

 

つくづく、思うのだ。

私は、私によくしてくれた方々に、「木村と知り合えて光栄だった」と、言ってもらえる人間に私はなりたい。それが、私の精一杯の恩返しだと思うから。

 

 

そうだ、自分だけのことじゃない。人のためなら、戦える。

 

息を吸い、吐く。ビジネスホテル特有の、かしこまった香りが胸に入った。

…もっと美味い空気を吸いに行こうか。

 

IMG_5922.jpg

駐車場では、愛車が旅立ちのときじっと待っていた。

私はそいつに、火をくべて。


 

さあ、行こうか。

 IMG_5897.jpg

 

            風来記

              ~始~

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する