クルマのCM
7月9日
…
……
………
あ。
しまった、少しウトウトしてしまったみたいだ。
だってしょうがない、ここは昼寝をするには絶好の場所だ。
入道埼。
北緯40度を記しているこの広場は、清々しいの一言が良く似合う絶好の空き地だった。
目の前に日本海。手前には奇岩がいくつか鎮座しており、私が座っているのは、背の高くない草地。虫もそんなにいない。
久々に青空という日和も相まって、先ほどハタハタ天丼を食べた私にとって眠気を誘うには十分すぎる場所だった。
「なかなかいいじゃないか、男鹿…。」
ひいては、秋田。決して馬鹿にしていた訳ではないが、”行く場がない”だなどと項垂れていた私を許してくれ。
もう少し、ゆっくりしていこうか。
なに北海道じゃないんだ、先を急ぐ必要もないさ………。
~~
入道埼から西海岸へと出でる県道121・59号へと走り出す。東側の道のりと同じような景観かと思いきや、面食らった。なんだこれは。
左に丘陵を覆う緑、右に青く輝く海。そして目の前右寄りには、これから走る道路を載せた断崖絶壁が延々と見える。
道は狭めだが、状態は悪くない。ヤバイ、またお気に入りを見つけてしまった。
一旦内陸側に浅く入って傾斜を上り、それから絶壁沿いをストーンと落とされる行程を何度も繰り返させられる。さながら、”たかいたかい”をさせられてるような気分だ。
ふと右側下方向へ目を向ければ、海へと真っ逆さまに落ちてしまいそうに感じるほどスリリングな崖っぷち。たまらんな。まるで、車のコマーシャルで外国人がニヤケ顔を浮かべながら駆け抜ける道じゃないか。
港へと下りてきてもいいカンジ。志津川以上に静かな港に、さざ波が音もなく打ち付けられていた。
歩く割には駐車場がないのが残念だったが、密かに目当てにしていたゴジラ岩も写真に収められ。
浅瀬が特徴的な鵜ノ崎に差しかかると、秋田市方面の陸地がそれを挟んで見えてきて、絶景道は終了を迎えた。
完全に手前勝手な話だが、秋田と言えば秋田犬とか秋田小町とか、ほのぼののんびりしているイメージがあった。だが、こんなにも他県へ誇れる険しくも美しい道もあったとは。なぜもっとアピールしない…。いやしてるのか…?
昨日は散々、ほぼ何もできなかったが、なかなか今日は幸先が良かった。この調子で、もっと”秋田、いいじゃないか。”とつぶやければ…良いと思う。
いがっだよぉ!!!