風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

ジェットコースター

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これからは、南へ向かう。

北海道に限ったことではない、本州にわたっても、ひたすら南下の一途、次なる大目的地は沖縄だ。

つまるところ、今この場所、稚内は北上からの折り返し地点、ジェットコースターの下り始め、一番おいしいところという訳である。

 

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昨晩のキャンプでも苦しめられたやませにあおられながら、小雨のなか道道106号を進む。目指すは旭川の真西にある留萌。

 

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するとだんだん、左は草木、右は野原を挟んで日本海と、またしても何もない光景に出る。『利尻礼文サロベツ国立公園』だ。

公園に指定されているだけあって、建物などは一切ない、ほんとにない。

雨の中宗谷岬へと敢行した猿払の時と違い、雨も上がって風もないので、ゆったりとしたクルージングが楽しめた。

そんな景色を段々と流していくと。

 

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さぁ、まさに、真に、何もない場所へ出る。

背を伸ばす草木もない、ただのっぱらのなかを、走る、走る、走り続ける。

 

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こんなように、淡い黄色の花が群生してる一帯を通ると、もうたまらず考えてしまう。

もはや、もう、ここは日本ではない。どころか、この世ではない。別世界へ来たのだ。

見えるのは、空と、花と、鳥と、ちらりと見える海。

 

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正直、何も書き記せることがない。何も考えられなかったからだ。

稚内へ行くときはなんやかんやとどうでもいいことを考えていたが、今は逆だ、何も考えさせてくれない。考えたくない。

ただ両腕でグリップと私の体を接続し、アクセルを回していたい。バイクと一体となって、やがて鳥たちと並走するようになって、自分も風に乗っているような気分になって、最後には、風になれた気がして。

 

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ああ、私は今、風だ。風になっている。

 

 

 

 

 

 

永遠のようで短かった道道106号が終わり、232号が始まると現実味のある世界に戻ってくるのだが、それでも好天に恵まれたこともあり、ライディングは快調だった。

天塩、初山別、羽幌、小平―と町から町へ移っていく中で、蒼銀色の海が見えたときは歓声を上げた。

 

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至福。これぞ幸せだ。これをそう呼ばずしてなんという。気持ちいい、気持ちよすぎる。贅沢だ…!

昨日は雨のせいで十分に体が動かせなかったこともあり、体中から精気が漲ってくるのを感じた。胸がいっぱいになり、息が止まり、目が細まり、口角がこれでもかと上がって、また雄たけびを上げる。

 

ああ、今日はどこまでも走っていきたいな、ロケットⅢ。留萌までといかず、どこまでも行ってしまおうか。どこまで行こうか…。

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