風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

静寂

625

 

 

朝から鼻水が止まらない。

風邪気味…ではないと思いたいが、気温が低いのはテントの中にいても明らかだった。

参ったな。今日はまた、山道を越えるのに…。

 

VLHZ0361.jpg

本当は信頼できる国道を通っていきたかったのだが、それで札幌から富良野・美瑛方面へと行くには北か南へ大回りしなければならず、仕方なく三笠から道道116、国道452、道道135を経て富良野へと突っ切るルートを選んだ。

とはいえ北海道らしく、県道もまぁまぁの道だった。

 

PAJO4048.jpg

…のだが。桂沢湖から国道452へ入った途端、道がデコボコのガタボコ状態に変貌してしまった。おい国道。

自然と肩に力が入り、持病の肩の痛みが再発する。寒さは増していくばかりで、何度も停まっては鼻をかみ続けた。それでも時折、しょっぱい液体が口に流れ込んできて気持ちが悪い。

 

IMG_2028.jpg

そういえば、いつの間にか私の走行距離も1kmに到達していた。私の相棒は元試乗車で少しだけ走行歴があったため、トリップで計測していたのだがカンストしてしまっていたようである。

 

 

走行していると、よりによって利き目である左目に虫がプチッと激突して悶える場面もあった。

たまらず路肩に停車して、車体に取り付けてあった水で目を洗い流そうとするが。当たり前のように顔からこぼれた水は全身にしたたり、服は濡れ、それがさらに寒気を増長させる。どうしようもなく、ロケットⅢのエンジンに身を寄せて熱を分けてもらった。



IMG_2024.jpg

「やってくれるじゃねーか国道452……。」

 

ここまでくると逆に闘争心が燃えてくるのだが、直後に「シャットダウン」との声とともにインカムのバッテリーが切れ、心の支えにしていた音楽も聴けなくなる。今回の峠越えは、なかなかハードになりそうだ。

 

ESMI3073.jpg

2㎞もある冷気に満ちたトンネルを通過する。聴こえるのは、ゴウンゴウンという反響音だけ。緊張して、瞳を動かすこともままならない。やはり音楽というのは重要だった。

 

 

JLXJ0722.jpg

インカムからのBGMがない故に気が付いたのだが、この峠は異様に静かである。見てみると、葉っぱ一枚すら揺れているように見えない。まるで、色だけそのままにして氷漬けにされてしまっているようだ。

そんな身じろぎもしない、緑の壁とも形容できる両脇の木々を見ていると、だんだんと彼らに監視されているような気がしてきて。少しだけアクセルを強めた。

 

 

 

走行開始から2時間後、ようやく国道38号、富良野町付近にはい出たときには、思わず安堵の息を一つ、とともに鼻水がたらりと一滴、流れたのであった。

IMG_2034.jpg

ティッシュもタダじゃないんだが…。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する