このために
6月24日
札幌。
北海道の県庁所在地。
「とはいえ、盛岡も洒落てたとはいえやはり地方の規模だったし…。」
とは思っていたのだが。
「けっこうな街ですねぇ…。」
東京の銀座あたりにも負けず劣らず、かなり活気立ったビル群がそこには広がっていた。
人も大勢歩いている。さっきまでの山道が嘘のようだ。
最大600円というお得な地下駐車場があってよかった。地下から地上へ出ようとすると、地下の大通りにもでくわす。
なるほど、雪や雨の日はここを歩いて駅などにアクセスできるということか。
渋谷ほど入り組んではいないが、初めてなので迷いつつ地上へ出てみると。
お洒落な公園。大通り公園ってやつらしい。
振り向けば、時計…いやテレビ塔が。
バックパックを背負い歩き回り始めると、少し見られてる感がある。この旅人の”浮いてる感じ”は、まさしく都会のそれだ。
先ほど挙げた銀座のように、街は碁盤の目のようにいくつかの十字路を繰り返すつくりとなっていた。
広い通り、暗い通り、少し怪しい通り…と、それぞれ特徴があって面白い。思わず撮影してしまう。
…しかし、長居はできない。
昨今、札幌はコロナウイルス感染者が後を絶たない地として有名になってしまっている。毛嫌いするわけではないが、万が一感染してしまったら他人様にも迷惑がかかるというわけで…。
今日札幌へ来た、ただ一つの目的を果たすために散策を続ける。
すすきの辺りに入ったところで、それは現れた。
「…いいね、ここにしよう。」
そう、ラーメンだ。札幌ラーメンである。札幌へ来たなら、これを喰わねば。
大正時代、北海道大学前に開店された『竹家食堂』に端を発すという札幌のラーメン史。戦後も『だるま軒』や『味の三平』など有名店が続々と出現し、やがてこのようなラーメン屋が軒を連ねるラーメン横丁が形を成していったのだ。
写真を見て吟味しながら…。
入ったのは『みそ吟』というお店。そして頼みましたるは『味噌ラーメン 極』!!
…すばらしい。絶対に旨い外観だ。
スープをひとさじ、頂く。
この味はっ、なんだ…? どこかで味わったような…、焼肉屋、ステーキ…? とにかく、何か肉料理を連想させるような旨みが舌で踊る。肉を連想させるといってもギットリしているわけではなく、柔らかな舌触り…。なんだろう。
麺を食べつつどんぶりの中を少々掘り進めてみると…、これは! タマネギだ! そうだ、ステーキとかハンバーグの下に載っているタマネギ! あの風合いを思い出していたんだ!
なんというかラーメンを食べているのに、肉を頬張っているような感覚に陥って。唾液が止まらない。代名詞ともいえるコーンも、もやしもシャキシャキで、歯ごたえよし、味も詰まっている。タマネギに気をとられていたが、味噌スープはまさに、もうそのままの表現なんだが、味噌汁のあの旨味をギュッと凝縮したものを延々といただけるような贅沢な味で…。
ああもう、なんというか。
「幸せです…。」
腹ごしらえを済ませた後はとっとと退散する予定だったが、たくさん食べたのかお腹が張っているので、食後の運動がてら少し観光。
札幌へ来たらとりあえず時計塔でしょう。
「ガッカリするから行かなくていい」なんて言われたら、逆にどうガッカリするのか気になるではないか…。
たしかに小ぶりではあるが、ちっちゃくてめんこい建物だと思う。これは正式には『旧札幌農学校演武場』というらしく、建てたのは「少年よ大志を抱け」で有名なクラーク博士なんだという。時計塔は後から付けたそうだが、現在では”国内に現存する最古の塔時計”とされている。大事にしようね焼失させないでね。
札幌駅。
デカい。東京駅より巨大なんじゃないか? 中に何が詰まっているのだろうか。
赤レンガ北海道庁旧本庁舎。アメリカ風ネオ・バロック様式なんだとか。
付近には庭園も造られていて、いいお散歩コースになっていた。涼しい。
うん…。と、まぁ、そんなところで、正直ラーメン以外記憶に残ってないでござる。
札幌2りんかんで壊れかかったゴムロープの予備を買い、次なる目的地・美瑛へと向かうのであった。