風来記

侍モドキとバイクの放浪旅を綴ってます。

やり残したこと

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予報外れの天気に顔をしかめながら、岩手沿岸部の名所・北山崎へ到着する。

 

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実はここ、昔家族旅行で来たことはあったのだが。ちょっとやり残したことを思い出して、訪れてみたしだいである。

あの頃は恐らく夏休みで大勢の人がいたが、今ここにいるのは私と数名の職員だけである。

 

 

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猛々しく反り立った崖。まさしく断崖絶壁という表現が似合うのが北山崎だ。

海面近くにあった平坦な地面が地殻変動で隆起、また水位自体も下がったことで生まれたこの海と地面との標高差は、約200mにも及ぶとのことだ。

 

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崖も見事だが、高台から臨める広大な海も圧巻である。

雨天のお陰で遠方は霞んで見え、海と空の境界線が曖昧である。なんというか、この大陸が柔らかなシルクで包まれているような。そんな穏やかな風景だった。

 

 

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で、やり残したことというのはこれである。

公園に面した第1展望台から降りていける、この階段だ。

何年前か忘れるほど昔だが、前にここへ来た私は今と変わらず好奇心旺盛で、「ここ降りてみたいんだけど」と母に交渉。しかし、時間がかかりそうだからダメと言われてしまったのだ。

まぁ、足の悪い祖母もいたし当たり前ではあったのだが。その後の私はどこかぶすくれていた記憶がある。

 

だが今は良くも悪くも一人だ。遠慮なく階段へと足を降ろし始めた。

 

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階段途中からは海や岸壁が望める。先ほどより海面が近いこともあって迫力も違うというものだ。

 


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さすが「第2展望台まで363段」との看板は伊達ではなく、展望台まで着くのに少し息が上がった。

 

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そっからの景色。往年の私は、この光景が見たかったんだろうか。

疲れた者のみが見れる景色らしく、上で見た光景より感動は断然違う。

多分これは、以前見れなかった景色だったから…。という気持ちも大きいからだろう。

恐らくこの旅でも、あの景色が見れなかったという思いに何度も遭遇するんだろうな。それで、また次の機会にそれを見に行くんだろうか…。

 

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行きはよいよいだった階段を、ヒーヒー言いながら登り帰る。荷物があるとはいえ、往年の私は行かなくて正解だったかもしれん。

ちなみにあと510段下れば波打ち際まで行けるらしかったが、そんな元気は残っていなかった。


 

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ビジターセンターで昔そうしたなと思い出し、アイスを食べてひと一服する。

雨は止んできたが、それでもまだ人はいないな。

 

 

…。

 

別にあの頃を懐かしみ、戻りたいとか女々しいことを思っている訳ではないが。

なんでこう、昔来た場に今一度来ると、こうしてボーッと呆けてしまうのだろう。

あの頃から自分はどう変わったのだろうか。あの頃ここで遊んでいた人たちは、息災なんだろうか。また、ここに来ることがあるのだろうか…。

 

恐らくこんな気持ちになるのは、この公園が昔と何ら変わらぬ光景でいてくれるからだろう。変わっていたら、ただ驚くばかりである。

今後も、誰かがこうして、懐かしみをかみしめられるように。ずうっと変わらないでいてほしいな。

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