龍泉洞
前回より
入洞券1,100円(!)を支払い、いざ日本三大鍾乳洞が一つ、龍泉洞へ入ってみる。
ちなみに鍾乳洞とは、数億年前から海底に堆積された石灰岩が隆起、海面から顔を出して陸になったところに雨水が注ぎ込み、その浸食作用によって洞穴が形成されたものらしい。
あらかじめ断っておくが、今回は主に「すげぇ」としか言ってない。
特に見て感じたこととかはなく、ただただ感動したばかりだったからだ。
洞内には平均毎秒1.5トンという湧き水が広い範囲に溜まっており、その上に木板の足場が設けられている。
ここは百閒廊下と名がついているようで、その名の通りけっこう歩くのだが、よくここまで作ったもんだと感心するばかりだ。
頭上や側面には数多くの穴が空いており、その奥に果てしなく見える闇をたたえている。
ちなみにここ龍泉洞は、洞穴自体とともに生息するコウモリも国の天然記念物に指定されているらしい。夕方に訪れれば、一斉に飛び出すコウモリも見れる時があるとか。
膨大な空間が広がっている。ここは名前を『白亜の議事堂』というらしい。
どうやったらそんな名前が出てくるんだ。
探検家気分が味わえる、ほどよい狭さの道である。
こういうところを訪れるたび、いつも”少年時にやったゲームみたいだ”と謎の感想を抱いてニンマリしてしまう。
地蔵岩。その実態は、床に落ちたしずくに含まれる石灰が結晶化し、下から上へと成長していく石筍(せきじゅん)という鍾乳石らしい。
天井から伸びるつらら石は、1㎝伸びるのに約50年、石筍は約100年要するとのこと。
長瀞や厳美渓のポットホールもそうだったが、石の神秘ってほんとスゴい。としか言いようがない。
音無しの滝。
流れ落ちる様相のまま結晶化したしずくが、動かない滝のように見えるということだろう。
どこか亡霊のように見えておどろおどろしい。
月宮殿。だからなんでそんな名前が
そして、龍泉洞の目玉である地底湖。
上から第一、第二、第三地底湖で、ここで見学ルートは終了。
宇霊羅山の尾根方向に伸びる主洞と、それに交差する多数の支洞から成り立つ龍泉洞は、この先にもさらに続いているとのことだ。
現在は第八地底湖まで見つかっているそうで、その調査は今も続けられている。
ボートを使ったり潜水したりして調べるそうだが、私だったらとても恐くてできないだろう。
この地底湖、はじめは水面に上の岩壁が映し出されているのかと思ったが、実際は水は限りなく透明で、しっかりと水底まで岩壁が続いているのだと気付いて驚愕した。
つまりは、この水の底に見える闇の空間は、不純物などのせいで見えない訳ではない。正真正銘の、ほんとうに光の届かない遠い場所なのだ。とても、ゾッとする。
この地底湖を見て初めて、”吸い込まれるような”という表現を理解した気がする。
トンネルを抜けて出口へ。
ここは人工だろうが、とてもワクワク進める場所である。
外界へ戻ると、ムアッといつもの蒸し暑い空気が…というわけでもなく、爽やかな風に頬を撫でられた。やはりここ一帯は、涼しい地域なのだろう。
この穏やかな風景の下に、どこか恐ろしささえ感じるあの光景があると思うと感慨深くなる。
もしかしたら普段何気なく歩いていた町も、道も、地下深くまで探ってみれば、人知の及ばないようななにかが待ち構えているのかもしれない。
「…まぁ、そうそう大自然の神秘がどこにでもあっちゃ困るか。」
冷え切った体と心をほぐそうと、近場の飲食店でラーメンを頼んでみたのだが。
「おまたせしましたドラゴンラーメンですー。」
ちょっと後悔したのであった。